004.証拠隠滅
おとぎ話で思い出した。
こんな時、映画ではどうなる?
「キョウ、戻って」
『なぜじゃ、もうすぐ街じゃぞ』
「このままではまずい」
『どうしたんだぁ?』
「いいから戻って。
俺達が合ったあの場所には、熊に襲われたときの俺の血とキョウのペリットが残っている」
『それがどうかしたか?』
「あそこは山の奥で人通りも少ないけど、全く人が来ないわけじゃない。
あの現場を見たら、警察に通報されるだろう、
そして巨大なペリットを発見する。
そのペリットが熊の成れの果てとわかれば
巨大で凶悪な動物が発見されたことになり、捜索隊が出ることになる。
体高8メートルの梟が隠れられる場所は少ない、
執拗に追い詰められいずれ見つかる。
そして最終的に俺達の秘密がバレる、というかキョウの存在がバレる」
『それで?』
「キョウの能力は人にとって計り知れない価値を持つ、
アイテムボックスを付与できるなんて皆喉から手が出るほど欲しがる。
アイテムボックス付与装置にされるか、
科学者の研究材料になって閉じ込められるか、
軍の秘密兵器にされるか、
闇組織に取り込まれるか、
脅威として討伐対象になるか、
いずれにしてもろくなことにはならないのは明白だ」
『儂もそれは嫌だな。
と言うかよくそこまで考えられるな』
「伊達に映画を見たりとか、物語を読んでいないよ」
『それで、どうするんだ?』
「俺の血は、土ごとアイテムボックスに入れる。ペリットもアイテムボックスへ。
キョウ、今までに人に目撃されたことは?
羽根を落としたりしてないか?」
『ここに落とされてまだ2〜3日だ、儂の痕跡は無いと思うぞ』
「良かった」
俺達は証拠隠滅を完了したが、結局明け方近くになってしまった。
普通に始発で帰ろう。飛んでいけば必ず目撃されてしまう。
「ひょっとしてキョウって変身とか出来る?」
『出来るぞ、普通サイズの梟とかは楽勝だな、任せておけ』
「梟を腕に止まらせて歩いても目立つだろ」
『肩でも良いぞ、頭の上・・』
「痛いだろ、梟以外でも出来る? 例えば、帽子とか」
『出来るぞ』
ぽんっ
いきなり頭上に乗ってきた・・おいおい
重さは・・・普通の帽子だった良かったぁ。
鳥は見た目より軽いとはいえ、1トンは下らない。 その重量が首にかかれば即死だった。
ただ、梟と言ってもミミズクだから羽角がある・・帽子にもその名残が・・
たぬきのバケ損ねみたいだ。
なんか可愛そうなおじさんみたいだ。・・いや、もうおじいちゃんか。
「キョウ、これなんとか出来る? もうちょっと目立たないように・・」
ぷらんぷらんと羽角を揺らす。
『どうしてだ? かっこええじゃろ』
「目立つと目をつけられるだろ」
『お主は考えすぎじゃ』
「そうだと良いけどね。
考えておいて損はないよ、いざというときの行動に迷いがなくなる」
『迷っても良いんじゃないか?』
「考えた結果判断ミスで失敗しても後悔はない、いざという時に迷っている時間がないかもしれない」
『そうか、ままええじゃろ、ほら、これでいいか』
「ありがとう」
だれかが山に入るときの近くの防犯カメラ、例えばバスとか電車の駅での映像と、山から帰って出ててきた映像を比較して、
帽子の有無に気がついて “不自然だ怪しい” などと思う人は多分居ないだろう。
大丈夫。 ・・・じゃ無かったんだけどね、熊に襲われて死にかけてたんだからね。
いや、殆ど死んでたね。
バスと電車を乗り継いでホテルまで帰ってきた。 連泊中で良かったな。




