022.古文書
ちょいと “ちょいと探偵社” に3人で向かう。
ユーゾー君は平常運転の様だ
「あれ? どうしたの、その娘は?」
「ユウキの妹さんだ」
「はじめまして、サキでーす」
「か・・かわいい・・」
一目惚れか?
「実は調べてもらいたいものがあって、頼めます?」
「何でも言ってください、僕に出来ないことはありません」
言いすぎじゃないかな? こいつ舞い上がってるね。
「実は、彼女達の家で代々受け継がれたものがあって、どうやら封印された邪悪なものらしいんだけど、
何か文献が残っていないか探していたらこの古文書が見つかってね・・・誰も読めなくて困ってる」
「まかせて」
スキャナーで古文書をデジタル画像化して、解析を始めた。
まず、シミ汚れの成分を除去し、画像を鮮明化して、文字を画像認識させて類似文字を探す。
「ヒットした。 時期は江戸時代初期の頃の字体に酷似している、
これなら自動翻訳できそうだ」
翻訳結果をまとめると
『代々当主申し送り事項
・封印庫は何があっても開けるべからず
・封印庫は門外不出、他所に持ち出すべからず
・これを守るために必要な資金を作り出すこと
・これを守るために家系を絶やすべからず
・・・・
』
このあと、具体的な説明がされているが、最後は “次巻に続くとなっている”
なぜ売り払ってしまったのぉ、美山ご両親。
この古文書には何が封印されているかは書かれていなかった。
結局この古文書からは新たな情報は得られなかった。
「ユーゾー君、美山家の家系からなにか見いだせないかな?」
「ユウキさん、調べてもいい?」
「良いわよ、お願い」
キーボードをぱちぱち叩くと、美山家の戸籍謄本が出てきた、思いっきり個人情報だ
そして、そこに繋がる家系をたどっていく、代々受け継いでいるはずなのでメインの血筋だけ辿っていけば良い。
「出た、室町時代にそれらしい事件があった・・応仁の乱・・
戦乱の世のさなか陰陽師の一派から分家して美山家が作られたみたい。
初代は 美山 方次郎 というらしい」
「その頃に居た何かを封印した物を守るための家系ってことか、
古文書は江戸時代に書き写されたもの・・」
「ひょっとして美山姉妹が最後の末裔・・継ぐものが居なくなればどうなるんだろう?」
朽ち果てて封印が解除されて大惨事・・
解体業者に引き取られて解体中に大惨事・・
誰かが封印を解こうとして大惨事・・
再封印しようとして失敗して大惨事・・
調査しようとして偶然条件が重なり封印が解除されて大惨事・・
何にしても大惨事が想定される。
応仁の乱は政権をめぐる内戦ということらしいが、実際は違ったのかもしれない。
『師匠、この頃の事何か知ってる?』
帽子に変身した師匠はいつも俺の頭の上に鎮座しているので念話で聞いてみる。
『この頃?』
『700年ぐらい前』
『年代はあまり気にしておらんからのう』
役に立たない
『京都辺りで、11年ぐらい続いた内戦があったりしたんだけど』
『おお、思い出した、その頃はまだ異形の者が残っておったな、今はもうおらんがな』
『なんですか、異形の者って?』
『儂の様に天界に住んでおったものとか、
お主らが妖怪と呼ぶ者が当時はまだ行き来できておったんじゃが、
人間界に干渉しすぎる者が増えてな、神が天界の門を閉じてしまったのじゃ。
その時に人間界に残された天界の生き物の討伐を託されたのが陰陽師と呼ばれる集団だったのう
その後は覗き見した程度で人間界に来たことがないからよくわからん』
歴史ってなんなんだろう、学校で必死に覚えて覚えきれずに赤点もらってたのは無意味だったようだ。
政権をめぐる内戦では無く、異形の者達との戦いに破れ、政権を交代していく羽目に陥っていたとか。
当時は政権の維持のため天界からの異形の者の存在は伏せられて、
全て “化物” とか “◯◯の呪” とか “天罰” とか “妖怪の仕業” とか
都合の良い様に解釈されていたらしい。




