011.猫探し
まだ見ぬ、居るともわからない敵に対する想定は毎日続けている。
必要とされる日まで自身の寿命が続けば良いな、と思う。
『お主、気づいてないかもしれんが、10年ほど若返っておるぞ、
超握力の付与で細胞が若返ったみたいじゃな』
なにそれ、知らなかった、でも10年って微妙だな。
そういえば体調も良くなった気がする。
ま、老け顔とそうでない人の差よりは少ない変化だ。
そう言えば近所の人と顔をあせた時に、あっ、とびっくりしていた様な気がしたが、そこまで変化しているとは思えないな。
街中では師匠は帽子に化けている。帽子で見栄えも変わっていることだろうと思う。
「あ、猫山さん、おはようございます」
近所のおじさんだ、なにやらキョロキョロと探し物をしている様だ、
「どうされたのですか? 何かお探しものでも?」
「いやあ、飼い猫が行方不明でね・・・」
「帰って来ますよ、そのうちひょっこりとね」
「そうだと良いんですけどね、誰か猫探し専門業者居ないですかね?」
んーん、確か親戚に猫好きで猫を探したってのが居たかもしれない・・猫山猫田だったかな・・でも専門業者じゃないな。
『猫ぐらい探せるぞ』
あ、師匠が出来るみたい
「俺が探してみましょうか? もうリタイアして暇ですし。写真とか使っていたものとかありますか?」
「あー、悪いねお願いしちゃおうかな、私これから仕事なので・・・
写真はスマホに入っているので送ります・・コミュニケーションアプリに登録してっと
・・・はい、送りました。
これはいつも使っていたハーネスです、
見つかったらここに連絡くれますか?
ちょっと家の者も留守で、私も出張なので」
「わかりました、やってみます」
名刺をもらった。
公安 保 さんか、そんな名前だっけ?
スマホに写真が届いた。・・・可愛い猫ちゃんだ。
「じゃあ行ってらっしゃい」
・・・・
「師匠どうやって探すんですか」
『簡単じゃ、いつものように感覚共有してみろ、
写真とハーネスの匂いを頼りにして見つけ出す。
近くに居ればすぐじゃ』
「おわーー感覚を広げて猫の総当たり戦か・・・」
『おっ、居ったぞ』
「すごい、さすが師匠・・・どうやって捕まえます?
ここ狭そうですよ」
『儂は探せると言っただけじゃ、すぐに捕えられるとは言っておらん
儂が捕えたら死んでしまうぞ』
「なるほどね、はいはいわかりました、頑張りますよ」
ここからは俺の努力次第か・・・
見つけては逃げられ、また見つけては逃げられを繰り返し、ようやく追い詰めてハーネスを付けてやった。
ちょっと引っ掻かかれた。
写真を撮って送ると、すごいと褒められた。
でも、出張で何日か帰れず家族も不在らしい・・・しばらく預かる事になった。
えーと困ったな、キャットフードも無いし猫トイレもない・・・
公安さんからは買ってくれたら後で代金を払うと言われ必要な物リストをもらい、ペットショップで色々と買う羽目になった。
引き受けなければよかった・・
ま、懐いてくれたから楽しかったけど、師匠には警戒していた。・・大丈夫だよ食べないから。
数日して出張が終わり返ってくると猫を引き取りに来た、
「いや、すまないね、預かってもらっちゃって、あ、これは猫用品の代金とお礼。
それにしても探し出すの早かったね・・ちょっと諦めかけてたんだよ」
「いえ、すぐに見つかりはしたんだけど・・中々捕まえられなくて・・」
傷だらけの腕を見せると
「いや、悪いねぇーまた改めてお礼に来るよ、
出張から帰ったのは良いんだけど、すぐに出かけないといけなくてね・・
あ、猫はいつも預かってもらってる人に頼むからいいんだけど、忙しなくてすまないね」
「いえ、楽しかったから良いですよ、じゃあ」
猫をあやしながら帰っていった。




