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部屋には彼女と俺だけがいた

 カチキリがいなくなって、部屋には俺と見知らぬ女だけがいるのだった。

 俺は脚の低いテーブルの前に座った。見知らぬ女は座ったままだった。俺は見知らぬ女に質問した。

「俺の名前はハカオイ。お前の名前は?」

 見知らぬ女は「名前はトイイミです」と言った。

「年齢は?」

「分かりません」

 トイイミは「私、名前以外は覚えていないんです」と言った。俺はトイイミが名前しか覚えていないことに何かの理由があるなと考えた。しかし、現状ではどうしてそうなったのかは分かりそうもなかったので、深追いはしないのだった。

「そうか」

 俺は「お前はここ以外にはいけない地縛霊か?」と聞いた。

「そうです」

「幽霊でもトイレには行くのか?」

「食べることはないのでありません」

「幽霊でも眠ったりするのか?」

「幽霊でも眠ります」

 俺は最後の質問をすることにした。

「お前はいつからここにいる?」

「ずっと前からここにいます」

「ということは俺がここに初めて来た時からいるのか?」

「そうです」

「俺は突然、お前が見えるようになったんだな」

「そのようですね」

 俺はポケットから、携帯電話を出した。

「大体のことは分かったし、もうお前は喋らないでいいよ」

 俺はこのままトイイミを無視して、携帯電話をいじりながら、テーブルの上の酒を飲んだり、テーブルの上のおつまみのお菓子を食べていくのだった。

 その後、俺は数日間を過ごすのだった。

 ある日の夜中のことだった。俺はベッドで横になっていたのだが、妙に目が覚めて、中々眠ることができなかった。

 俺はベッドから、ソファに座っているトイイミを見た。トイイミはソファの上で俺に気づかれないように、声を殺して泣いているのだった。

 俺は彼女について調べることにした。

 

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