ありがとう。
おそくなってごめんなさい。今回はリアンと心愛のお話です。楽しんでいただけると嬉しいです。
「心愛、部活行こう」
「ごめん、レイちゃん。あたし、行きたいとこがあって……休む!!」
リアンのとこに行かなくっちゃ。ただいまって言わなくっちゃ。
あたしは思いっきり走った。
「リアンー!!」
リアンは相変わらず楽しそうにブランコに乗っている。
「あ、心愛!」
リアンが立ち上がった。
「ねぇリアン、今日ずっとブランコに乗ってたの?」
なんとなく気になって訊いてみた。
「ああ。心愛が来るのを待ちながら」
なんか悪いな。何時間もこんな小さい公園で待たせちゃって……。つまんなかっただろうな。
「なんか、ごめんね」
「どうして謝るのだ?」
どうしてって、いっぱい待たせちゃったから……
「心愛、おいらと約束してくれぬか?」
「なにを?」
「謝らないこと。今だっておいらをたくさん待たせたから謝ったのだろう?こういうときは、ごめんじゃなくてありがとうって言えばいいんだ」
ごめんじゃなくて、待ってくれてありがとうって言えばいいの?そっか、謝られるより、お礼を言ってもらったほうが嬉しいもんね。
「うん、約束する。あと、ありがとう!」
「ああ」
リアンはほほ笑んだ。
あたし、リアンの笑ってる顔、好きだなぁ。あたしまで笑顔になれちゃうんだもん、やっぱいすごいな。
「おいらな、ほとんどの「ごめん」は「ありがとう」に置き換えられると思うんだ。だから、謝るのはいいことだと思うんだけど、損してるよなって」
「ごめん」と「ありがとう」か。なんかリアンがすごい人に見える。まあ、神様なんだからもともとすごいんだけど。
「リアンってすごいね」
「なんでだ?」
「あたしね、リアンといるととっても楽しいの。リアンが大事なの。これからもずっと一緒だよ」
「はは、ありがとう。でも心愛、それ答えになってないぞ?」
あ、そうだね。どうしてすごいか訊かれたのに。
「あたしにそう思わせたのがすごいの」
なんか、上手くいえないよ。
「そうか、じゃあ心愛もすごいな。おいらも心愛といると楽しいし、大事に思ってるからな」
リアンはいっつも嬉しいこと、言ってくれるね。
「リアン、あたし、リアンに出会えてよかった。ずっと、ずっと一緒にいてね。約束だよ」
あたしは小指を立てる。
「ああ。約束するぞ」
リアンと指きりする。
リアンの手は大きかった。大きくてドキドキする。あったかくて心臓が変になりそう。
あたし、今日リアンに「大事」って「一緒にいて楽しい」って、「ずっと一緒にいて」って言えた。だけど1つ、1つだけ言えなかったことがあるんだ。たった2文字なのにな。
「好き」って言えなかった。
あたしって、こんなに臆病だったかな。こんなに弱虫だったかな。言いたいことも言えないほどに……。
あたしの意気地なし。あと少し勇気があれば言えたのに。
あたし、決めた!絶対に今度あったら言う。リアンに好きって言うんだから。
読んでくれて、ありがとうございました。次回はある人物が登場します!新登場ですよ。よろしくお願いします。
今回はちょっと短くてごめんなさい。