友だち。
お待たせしました!楽しんでくれると嬉しいです。
「リアン、あたしね、もっとここに居たいんだけど……」
「分かっているぞ。学校に行くのだろう」
え?
リアン、すごい!
学校とか知ってるんだ!
「人間界のこと、なんとなく分かってきたぞ」
へぇ。勉強でもしたのかな?人間界の。
「ここのこと、少し学ぼうと思ってな」
やっぱり!えらいなぁ、リアン。
「えっと、じゃあ行ってきます!」
「ああ、行ってらっしゃい」
一回、ふり向いてリアンに手を振って通学路に戻る。
少し前の方にレイちゃんの姿があった。
「レイちゃ~ん!!」
「あ、心愛じゃない」
レイちゃんはくるっとこっちを向いた。あいかわらずキリっとした表情だ。
「いっしょ行こ♪」
レイちゃんと学校行くの久しぶりだな。
「どうしようかな。」
「え!」
どうしようって、冷たいよぉ。酷い。レイちゃんの薄情者。
「冗談よ。仕方ないなぁ、行こう」
レイちゃん。やっぱり優しいね。いい友達だよ。
「心愛、あたし達は友だちだよ……ね」
今更何言ってるの?変なの。
「あたし達は友だちだよ。急にどうしたの?」
「なんか、心配になっちゃって」
心配?どうして?あたし、何かした?
「心愛、あたしに隠し事……してない?」
隠し事?リアンのこと意外はなにもしてないよ。これは言っちゃいけないことだもん。
「何もしてないよ」
ごめんね、レイちゃん。
「うそ…………」
レイちゃんの声のトーンが低くなった。
「え?なんで?」
もしかして、リアンのこと……
「どうして彼氏がいるって教えてくれなかったの?」
へ?彼氏?あたしに?
「レイちゃん、あたし、彼氏なんていないよ?」
これは嘘じゃない。正直言って、恋愛とかよく分かんない。
「じゃあ、誰?今朝公園で抱き合ってた人は!!」
やっぱり!!見つかってたの!?しかも抱き合ってたなんて!恥ずかしい。誰も見てないと思ってたのに。
「あれは、友だちだよ」
人間じゃないけど、リアンはあたしの大事な友だちだよ。レイちゃんと同じくらい大事な友だち。
「友だちなのに、あんなことするんだ?」
えっと、それは……。
「その人と居ると、楽しくて、優しい気持ちになれるから。ずっと一緒にいたいな。って思って。それで、その……」
なんて言えばいいか分かんないよ。
「なんだ、そういうことね。誤解しちゃったじゃない。ごめんね、心愛」
そう言ってレイちゃんは怪しくほほ笑んだ。でも、分かってくれたならいいや。
「つまり、心愛はその人が好きなんでしょう」
は?
「え――――――!!え?いや、そんなこと……。それに、あ、あたし好きとかよく分かんないし」
「じゃあ、ここで質問です。」
レイちゃんはよくクイズ番組の司会者が言うみたいに言った。いきなり、何?
「あなたは、その人といるときドキドキしたり、心臓がバクバクしたりしますか?」
リアンといるとき?あ!なんか心臓が早く動いてるなってはたまに感じたけど。あれかなぁ?
「たぶん、あるかもしれない。」
「ほほぅ」
なんかレイちゃんが怖い。いつものクールな感じはどこへ??
「では次。その人のことが大事ですか?」
これならすぐに答えられる。
「大事だよ。あ、もちろんレイちゃんも大事だよ」
「ありがとう。」
良かった、レイちゃんが笑ってくれて。
「では、最後の質問です。その人がいなくなったらどうしますか?」
リアンがいなくなったら?そんなこと、リアンも言ってたっけ。でも、やだよ。そんなこと考えたくないもん。
「やだ。いなくなったらやだもん。だから、そんなこと考えない」
「分かりましたよ。あなたがその人のことを大好きだってことが、ね」
え?あの質問でどうして分かるの?
「心愛、これが好きってことだよ」
なんか、レイちゃんが言うと、そうなのかもって言う気がする。あたしが、リアンを好き?
「そうなの?」
「うん。あたし、心愛のこと応援する!」
「応援?なにを?」
レイちゃんが宇宙人でも見たかのような目であたしを見る?なに?あたし、何か変なこと言った?
「心愛がその人と付き合えるように、応援するの」
は?なんか、今日のレイちゃん変だよ。
「で、相手は心愛のこと好きなの?」
そういえば、リアン「心愛のことが好きだから」って言ってたような気がする。
「あたしのこと、好きって言ってくれたけど」
「本当?じゃあ、告っちゃえ!」
告白?あの、ドラマとかでよくやってる?無理。絶対無理!
「できないよ」
「無理にとは言わないけど、恋って素敵なことだよ」
「レイちゃん、どうしてそんなに詳しいの?」
不思議?たしかにレイちゃんは天才だけど。
「経験から?」
経験って。ん?じゃあ……
「もしかして、レイちゃん誰かと付き合ったことあるの?」
「うん。元カレは13人いるよ」
13人?じゃ、13回付き合ったの?すごい。レイちゃんってやっぱりすごい!
「どうして言ってくれなかったの?友だちなのに……」
さっき、レイちゃんに言われたもん。あたしだって言ってやるんだから。
「お子様にはまだ早いと思って」
ガーン……。
あたしの方が、誕生日は5日遅いけどさ。そんなに変わんないじゃん。
「レイちゃんの意地悪!」
そういったらレイちゃんは戸惑ったような顔になった。なんだか可笑しくなって、2人で思いっきり笑った。
こういうのってなんか、いいなぁ。
これからも、ずっと友だちだよ。レイちゃん、リアン。
読んでくれて、ありがとうございます!次回は今回出番の少なかったリアンと心愛のお話です。楽しみにしていてください。