最後の1日。
公園で涙で瞳をぬらしながらも、あたしたちは微笑み合う。
ほかの人から見たらただの中学生カップルかもしれない。
でもそれは実は神さまの少年と人間の少女。
そして、ふたりが一緒にいられるのはあと1日。
だなんて誰も思わないんじゃないかな。
「ごめんな、心愛。おいら、なんで神さまなんかに生まれてきてしまったんだろうな?」
諦めたような目で雲ひとつない空を見つめるリアン。
あたしだってね、リアンが普通の男の子だったら……。なんて思ったよ?
だけどね、あたしが好きになったのは神さまのリアンなんだ。
人間界のことを全然知らない純粋なあなたを好きになったんだよ。
だからね、そんなこと言わないで?
「リアン、どこに行きたい?」
「何がしたい?」
あたしは、あなたの行きたいところに行きたいな。
あなたのしたいことが、したいな。
「おいらの行きたいところは心愛のいるところ」
「おいらがしたいことは心愛の傍にいることだな」
嬉しい。
今、幸せな気分になっちゃったら別れるのがつらいんじゃないかな?って思ったけどね、そんな心配必要なかったんだね。
だってね、あたし、リアンとの思い出さえあればいくらでも頑張れるよ、絶対。
だから、世界一素敵な思い出、作らないとっ!
今日が、あたしとリアンが一緒に綴ってきた心のアルバムの最後の一ページになるんだもん。
「じゃあ、今日は二人で、ここでゆっくりしたいな~」
いろんな所に行って、いっぱい思い出つくりたいっても思うけどね。
こうしてのんびりするのも、悪くないかなぁって。
「ああ、おいらも。おいらたちにはこういうデートのほうが性にあってると思わぬか?」
そう言って芝生にごろんと横になったリアン。
それがなんだか可愛くって、愛しくって、思いっきりリアンに抱きつく。
「なんだ?心愛」
からかうみたいに言ってくるけど、いいでしょ?
今日くらいは、大胆になっちゃっても。
あたしね、後悔はしたくないもん。
「えへへ、大好き~」
ぎゅって腕に力こめたら、リアンもぎゅってしてくれた。
あたしもリアンも口には出さないけど、きっと同じこと思ってる。
やっぱり大好きだなぁって。
さみしいなぁって……。