お父さん。
遅くなりました。すみません!
『ほう、その女子がリアンの彼女なのか』
「父上ではないですか、お久しぶりです」
リアンが滑り台の方を向いて頭を下げる。
あたしには何も見えない。前にリアンが言ってた姿消術とかいうのかな?
『ああ、久しぶりだな。リアン……お前は未だに姿消術さえも使えぬのか』
「すみません。日々修行に励みますゆえ、お許しください」
リアンはまだ頭を下げたまま。
これが親子の会話だなんて思えないよ。
なんだか、リアンがリアンじゃないみたい。
『挙句の果てに人間に見つかってしまうとはな。しかも付き合うなど考えられん!』
頭の中で響くその声からも怒りが伝わってくる。
きっと、今、リアンのお父さんはものすごく怖い顔してるんじゃないかな?
だって、リアン悲しい顔してるもん。
「申し訳ありません。ですが、父上!この女子は、心愛はおいらの大事な友達で、彼女なんだ!おいらはたとえ父上の命令だとしても心愛と離れるつもりは無いぞ!」
そう言ってリアンはぎゅっとあたしの手を握ってくれた。
それがあったかくて、優しくて。いつものリアンなんだって思う。
あたしのためにここまで言ってくれるリアンがあたしは大好きだ。
あたしもずっと、ずっとリアンと一緒にいたいよ。
「見えないけど、リアンのお父さん!あたしは桜川 心愛って言います。あの、リアンとはいつも仲良くしてもらってて、大事な人です。だから、リアンを許してあげてください!あたし、誰にもリアンが神様だって言わないからっ」
あたしはリアンが向いている方に向かって叫んだ。
『心愛か。今までリアンと仲良くしてくれてありがとう。だが、それも今日までの話だ。リアンは連れて帰る』
そんなのやだよ。
あたし、ずっとずっとリアンと一緒にいる!
神様だとしても、そんなの関係ないもん!
「お願いです、リアンと一緒に居させてください」
「お願いします、心愛と一緒に居させてください」
二人で一緒に頭を下げる。
つないだ手にぎゅっと力がこもる。
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