出会い。
まだまだ未熟者で至らぬ点も有るかと思いますが、楽しんでいただけると光栄です。
このジャンルは初めて書くので緊張しますが、どうか宜しくお願いいたします。
すがすがしいほどの青空のしたに広がるのはなんとも豊かな自然。
草木が青々と茂り、花々がやんわりと微笑むそこを優しい春風が吹き抜けた。
肩を並べて歩く二人の少女のスカートがふわりと舞う。
「神様。どうかわたしにすてきな出会いを!」
あたしはこの広い空にお祈り中。
きっと、空の上では神様があたしを見守っているに違いない。
そしてあたしの願いを……。
「はぁ?神様なんて信じてんの? 見たことも無いくせに。中1にもなってありえないよ、心愛」
レイちゃんったら、また夢のないことを。
「レイちゃんってば冷たいよぉ」
「うちには玲羅っていうかわいい名前があるんだけど。レイちゃんなんて幽霊みたいな呼び方、やめてくれない?」
「幽霊みたいな呼び方(レイ)」+「ラ」がかわいい名前なのか。
やっぱりレイちゃんは変わってる。
冷たいけど面白いから、あたしはレイちゃんが好きだ。
夢がなくて、あっさりしてるけど、そんなレイちゃんもあたしは好きだ。
「ねぇレイちゃん。神様はきっといるよね!」
レイラなんて呼ばないんだから。だってレイちゃんはレイちゃんだもん。
「神様はいないって言ってるでしょう。いいかげん覚えてよ。」
レイちゃんはなんでも知ってる。
誰かが「IQ170」なんだって言ってたもん。
あたしは「IQ」がなんなのかもわからないけど……。
でも、レイちゃんが頭がいいってのは間違いない。
そんなレイちゃんが言ったんだ。「神様はいない」って。
でも、神様は……ちゃんといるよね?
「心愛、ばいばーい」
ふとレイちゃんが足を止めた。
あ、もうこんなとこまで来てたんだ。
「気をつけて帰ってね」
あたしはもう中1なんだよ。同い年なのに子ども扱いして……。
あたしだってちゃんと1人で帰れるよ。
レイちゃんってば、もう……。
「ばいばーい」
だけど、やっぱりレイちゃんに心配されるのはなんだか嬉しくって。
あたしは大きく手を振りかえした。
レイちゃん、帰っちゃった。
つまんないな、人いないし。
そもそも部活が急に休みなんかになったのが悪いんだ。
まさか、担当の先生が早引けしちゃうなんて。
体が弱いっては聞いてたけど……。
あたしの部活は「写真部」
にぎやかで楽しい部活だって聞いたから、レイちゃんと2人で入部したの。
でも去年、そのにぎやかで楽しい部員はみんな卒業しっちゃったみたいで、今は素人2人のさみしい部活。
そんなあたしたちに先生はこう言った。
「撮りたいものをいつでも撮れるように、カメラは常に持っているようにしなさい」
だから、今もあたしのポケットにはカメラが入っている。
先月、父さんに買ってもらった薄ピンクのデジカメ。
今日はなにを撮ろう?
今まで、1日1枚は写真を撮っていた。
だけど、それは決して「あたしの撮りたいもの」じゃなかった。
今日も指で四角をつくって、その穴からあたりを見渡す。
山、川、町……いろんなものが映る。
景色が流れてく。
でも途中であたしは固まってしまった。
ある場所から目がはなせなくなった。
―――――――――見つけた。
『あたしの撮りたいもの』
それは、1人の男の子。
真っ白な和服に、真っ白な袴。
そして、1つに束ねた長い黒髪。
昔の人みたいな格好をしている。
そしてなにより、その雰囲気がすごかった。
ただものではないような、近づきがたい雰囲気。
こんな感じ、初めてだ。
気が付いたら、シャッターを切っていた。
あたしはふと思い出した。
人を無断で撮ってはいけないって、先生が言っていたことを。
とりあえず……謝ってこよう。
あたしは数十メートル先の男の子のところまで、駆け足で行った。
「すみませーん、この写真なんですけど……。」
あたしはさっき撮った写真をみて言葉を失った。
その写真には男の子は写っていなかった。
たしかに撮ったはずなのに……。
読んでいただき、有り難うございました。
皆さんに心から感謝しています。
これからもよろしくお願いします。