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第3回だよ!!

 行き詰まるカエル。

水底調査員の実地研修の日から数日が経ちました。まだバントさんは自分の納得する仕事が見つかっていませんでした。

ここ最近はずっと彼女とテーブル越しに椅子へ腰掛け話すだけの毎日。毎日がただただ雑に過ぎていく。私は、仕事をするためにここに来ている。

「アンコちゃん」

「なんなのですか?」

「アンコちゃんはどうしてここで働こうと思ったんですか?」

迷わずアンコは答える。

「働く気はなかったのです」

働く気がなかった?

「ならどうしてここで働いているんだい?」

「それは、他に選択肢がなかったからなのです」

聞いてはまずいことを聞いてしまったのかもしれない。少し冷や汗が落ちた。ただ彼女は屁でもなさそうに言葉を続けた。

「でも働いているのは自分なのです。遅かれ早かれ自分の選択は起こした行動のあと悩むのです。だから今私は"まだ"ここにいるのです」

なんだか、私の気持ちを悟ったかのように言葉を発する彼女を見て、憎たらしく思いました。

ああ、小娘がと。小娘が、くそ。社会に出てそれほどでもない小娘が、と。

でも私にも言い分はあると思う。

能力じゃない。立場じゃない。それらはまだ選択肢が誰にだって平等にある。困るのはね、時間なんだよ!時間は、犯したことは、先のないことは、取り柄のないことは、取り戻せない。自分を知り過ぎると足踏みして積み重ねれない。

「きみがそれを!!知らないから!!」


ハ             


おおきな、声が出た。周りが、まわりがすごく私を見ている。ハッ、アンコちゃんは!?

アンコは、じっと椅子に座ったまま、バントの瞳をのぞいていた、深く。アンコは答える。


「知らないのです。私は何もわからないのです」

知らない、わからない、当たり前だ。私は嘲笑おうと、自分を馬鹿にしそうになる。でも、まただ。彼女は言葉を続けた。

「でも、私はここで結果を出しているのです。凄くても、凄くなくても、日々それなりに結果を出しているのです。それがたぶん仕事なのです。それが、私がここで働く理由にもなっているのだと、そう思うのです。見返りも、ちゃんとあるので」

人それぞれの価値観だ。でもそれがこの子の結果がこの子の形の一つになっているのだということをその佇まいで思い知る。私は恥ずかしい。

私は、彼女を、昨日の彼らを見ようとしない自分が恥ずかしい。

「私は、恥ずかしい大人だよ」

「そうなのですか?大人なんてみんなそんなものなのです」

「フッ、偉そうにわかったこと言いつつ、しっかりと言い分がありそうで言い返せない。だから素直に、手厳しいねアンコさんは」

「私も社会人なのです」

「そういえば、そうだね。私は、今は、社会人じゃないんだな…」

「そんなことはないのです。これからです。家族、食わしていくのですよね?」

「そのつもりだよ」

「それじゃあこの仕事をやるのです」

「まだそのゴリ押しのスタンスでやるんだね」

「結果が、出ているのです」

「あとできみ後悔するぞ〜、これは本音」

「その時は、その時なのです」


そして彼はこのままアンコの手腕もあり、無事プールの監視員の転職に決めることができた。そこでの仕事ぶりは健気に一生懸命で、一目を置かれるようになったという。蓮の花が開いたのだった。


そんな彼にアンコは、


「誇って良いのですよ」


と一言かけたそうな。

 某ラーメンチェーン店でのトッピング味玉を初めて頼んでわたしゃ天にも昇る気持ちさね

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