第2回だよ!!
こんな感じで進めていければと。
「ここが現場なのです」
「一面見渡す限りの湖だね」
アンコとレニーカエルのバントは湖を中心とした静かな湿原で佇む。
「貴重な水源でもあり、文化的にも大変貴重な遺産なのです」
草花が生い茂り、広大な湖は透明でよく透き通っている。
「で、その水底文化調査員の方はどこに?」
「もうすぐ帰ってくるのです」
「ほう?」
静かだった水の音が、サラサラ、音を立て始める。水波は揺れ、黒い影を作り、影は昇り。
湖からケモノの一団がゾロゾロと、影が形を纏い水を突き破ってくる。段々と見えてくるトゲつきのあるガタイの良いケモノ達は、水の滴る身体を震わせることで乾かしながら、ブツを手に、雄叫びをあげる。
「ウィいいいいいい〜!!!」
「紹介するのです。水底文化調査員のウルフマン一団なのです。凄いのです、彼らは水底まで素潜りで文化を調査しに行く凄腕調査員さんなのです」
人間のように2本の足で自立する狼の一団。彼らはムキムキムキムキだ。
「ウィいいいいいい〜!!!」
出土品を雄叫びをあげながら丁寧に拭き取っていき、一度薄い紙で包装、個別のボックスに保存と細やかな作業を手際良くこなしていく。
バントはその様子を見て、右手をバキュンポーズで顎に当て、神妙な面持ちで口を開く。
「素潜り?圧死するのでは?」
これに対してアンコは、即座に、焦らず、捻りなく答える。
「直近何匹かは圧死しているのです。水圧は本物なのです」
「ウィいいいいいい〜!!!」
「溺死の方が多いのです」
「ウィいいいいいい〜!!!」
後退り、腰が引け、思わず「ゲゲ、ゲロゲロ…!?」と声をあげるバント。
「普通じゃない」
「普通は人それぞれなのですよ」
アンコは表情を変えず、素早く答える。
それはそうだが、これを普通とは呼びたくない。
「あの、」
「何なのです?」
「別の仕事を、また、紹介してもらえないでしょうか?」
「研修はいらないのですか?潜らないのですか?」
「いらない、絶対いらない」
「わかったのです。じゃあまた明日、所の方でお待ちしているのです」
「・・・、うん」
「みなさーん、わたしたちは帰るのです〜」
「ウィいいいいいい〜!!!お疲れ様あああぁぁー!!!」
「元気すぎる…」
「違うのです。誇っているのですよ」
「え?」
「怖いのです。合わない仕事かもしれないのです。命も落とすのです。でも、必要なことなのです。必要な仕事なのです。だから、誇ることが必要なのです」
「なにそれ?」
「またわかるのですよ。さぁさぁ、今日は帰るのです」
「うん…」
わかるのかな?
働かない日の夕暮れは早い。
好き嫌いいっぱいあって良いよね。