第0回だよ!!
疲れる、そう。疲れるのですよ。でも、進むのです。
よくある話です。
食器棚から1人でに飛び出した牡丹餅が、勢いよく額にぶつかったことにより謎のエクスタシーが光となり発生しました。痛みはちゃんとあります。気がつけば木製の床が空間の裂け目のように抜け、目下は暗がりの大穴に。もちろん足は宙ぶらりん、私ホールインワン。牡丹餅の勢いそのままに私真っ逆さま。トラベル、travel。私は新世界へ。
「私は、ナマズガワ・アンコ。」
日本の、関西に生まれれれれれれれ、、、、
真っ暗闇の世界。そんな世界に、私1人。
頭に名前以外出てこない。言葉が出そう、でも眉歪めちゃうくらいには少し痛む。ちょっと待て私。はあはあ。
せーの、せので、
「私誰なのよ!!」
甘い物にぶたれたところまでは覚えているのですよ。後悔したら負けということも覚えているので、なので今を全力で満足に生きていけるのです。よかったのです。そして、
「ここは、どこなのよ?」
だだっ広くひろがる上下左右黒い空間。眼前には縁はなく剥き出しで背丈のある鏡。顔まで、足まで、頭のてっぺんも写る。顔は、
おみごと、牡丹餅が張り付いている。
いやそうじゃない。大事なのは、牡丹餅を食すことを許さないこの安心感のない暗い空間。孤独。当たり前だ。名前と人生を変えた言葉の数々以外何も覚えていない。とりあえず鼻上の牡丹餅を退けよう。
ぐちゃり。
私の顔は、この牡丹餅にまぶされた粉のように肌が白い。秋田美人でした。いや、美白で綺麗すぎて日光の届かない人魚姫だ。ごめんなさい嘘なのです。人並みより少し上くらいの肌白なのです。
「そこのお嬢さん」
「脳に直接語りかけてくる!!」
「いえ、やさしい声を発声させてます」
「ハッ、ただ言ってみたいことだった気がしたので」
「それも良いでしょう。では、そろそろわいを離してはくれないでしょうか?遅刻してしまいます」
「離す?まさか!」
咄嗟に牡丹餅を勢いよく投げ捨てる。私はサウスポーでスリークォーター。投げ捨てられた牡丹餅はこちらを見上げた。投げられた牡丹餅は「おやおや」と言いながらペチンとメンコされる。そして謎の床に着地。
「はい。わいは牡丹餅うさぎです」
「牡丹餅うさぎさんでしたか!びっくりなのです!」
「わいをご存知で?」
「初対面なのです」
「ですよね。それも良いでしょう」
「はいなのです」
照れた様子を見せ頭を掻くアンコ。
「では、これも何かの縁でしょう。私の仕事を手伝ってはもらえないでしょうか?」
「合点なのよ!!」
「素晴らしい!!!」
思えばこれが、私の棚からぼたもちでした。
なんだこれは?