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魔女の道々  作者: 川獺右端
第十章 アリスと三人の家来
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第89話 エルフィンの里に魔導動甲冑と子供魔女がいっぱい

 ワルプルギスの夜市は終わった。

 今回はサンデイが体調を崩し、後半に少しだけやってきただけだったが、その分アリスはサンデイに甘えて引っ付いていた。


 オートマタのナナや、アリスの弟子のペトロネラなど、アリスの新しい仲間もサンディは歓迎した。


「同い年ぐらいなのに、弟子を取ったのね」

「うん、なんかピンと来たよ」


 サンディもオートマタの子を二人ほど弟子にしてクーニッツ連合国へ連れて帰った。


 ワルプルギスの夜市は終わった。

 ディアナは、漁船と軍艦を二隻並べて宙に浮かせて中央深樹海のエルフィンの里へと帰還した。


 ダーグ博士と魔導動甲冑たち、そして子供魔女たちも一緒であった。


 エルフィンの里は出発前と打って変わって、オートマタの子、魔導動甲冑、子供魔女が右往左往する賑やかな場所となった。


『沢山、魔女が来た』

「ちょっとうるさくするけど、ごめんね」

『賑やかなのは楽しいよ』


 魔女の子供たちは、上を見上げて光輝くエルフィンの子供達を見て歓声をあげた。


 子供達の食事の世話等をするために、ジルバにお願いして里に来て貰った。

 子供達の寝る場所は一時的にテントを張り、ヨリックとダンカンが大車輪で廃屋に手を入れて居場所を作っていった。

 ナナやアリスも手伝ったし、ディアナの引力魔法は大工仕事の役に立った。


 ようやく廃屋を住居に替えて、子供達をパンパンに詰め込んだと思ったら、新しい子供たちがデシデリアから運ばれてきた。

 大きい魔導動甲冑工場は潰したのだが、小さい工場がいくつかあり、そして『繋』の魔女によって新しい魔女が発見されて、デシデリアから保護されて、エルフィンの里に運ばれて来た。


「寺子屋を作るべきですね」

「おお、ペトロ、学校を作れ」

「え、私がですか?」

「ペトロには、道筋が見えるだろう、先生は誰かに頼めば良いし、管理も誰かに投げろ、ペトロは計画の真ん中を決めて進めろ」

「あ、はい」


 組織作りも、学校運営も、ペトロネラは未経験だったが、なんだか、不思議にやれそうな気がした。

 物事の道筋が見える、それが『道』属性の力なのかもしれない、とペトロネラは思った。


 魔女の子供の半分をメリル共和国側の村に連れていき、寄宿舎の建物を借りて学校を始めた。

 魔女の道々の者達が面白がって先生をやってくれた。

 意外にクランクが子供好きで体育の先生を嬉々としてやっていた。


 オートマタの子と、魔女の子供と別のカリキュラムで教育をした。

 ペトロネラは学校を運営しながら、自分も色々な事を学んでいった。

 思ったよりも何でも出来る自分に気が付いて驚いた。

 アリス師匠は良く私を見てくれているな、と嬉しくなった。


 ペトロネラはエルフィンの里から、アリスの箒の後に乗って毎朝、村の学校まで出勤している。

 アリスはペトロネラを送り届けると、寄宿舎の学校をうろうろして魔女の子供と遊んだり、一緒に勉強したりして夕方まで居て、ペトロネラと一緒に里へと帰った。

 ヨリックは、アリスが村へ行くのを危ないと懸念していたが、諜報員の工作は魔女の子供達やオートマタ、魔導動甲冑たちがよってたかって潰していた。


 アリスとペトロネラは笑い合いながら、村で魔女の子供達と、オートマタたちと、一緒に育っていった。


 また四年が過ぎて、ワルプルギスの夜市が開催された。

 その頃にはクーニッツ連合国は軌道に乗り、サンディ女王の下に小国が集まり、見過ごせない勢力として存在感を増していった。


 デシデリアから魔女は一人も居なくなり、学校に新しい子供は送られなくなったが、今度は大陸中の国から、魔女の初等教育をと生徒が送られるようになった。

 校舎は大きくなり、寄宿舎で働く人員も増える。

 村でも教育の機会を子供に授けてほしいという事で、村人の子供たちも学校に通うようになった。

 普通の人間と魔女の子供が一緒に勉強をする学校が出来上がった。


 教員にはプラントやクランク、そして魔女の道々のベテラン魔女たちが先生として、勉強を教えていた。


 ディアナは軍艦に学校の生徒たちを乗せて、リョトウの街の近くの、グリナ山の夜市へ行った。


 アリスは弟子のペトロネラと一緒に、ターラーのテントに泊まった。

 魔女学校の生徒たちも、夜市を楽しんだ。


 道々の魔女達は、新しい学校出の魔女を見て、時代が変わりつつあるのを感じた。


 アリスは四年ぶりのサンディに会ってたっぷり甘えた。

 今年は軍艦で来たので、軍艦の袂にテーブルを置いて軍艦喫茶とした。


 ダーグ博士は弟子が出来、人形師の弟子もできて、オートマタ製作の速度が上がってきた。


 ペトロネラは軍艦喫茶のお客さんの導線を読んで、最適のテーブル配置を編み出した。


 ヴァンフリートは夜市で走り回る子供魔女とオートマタ達を見て目を細め、ターラーが生み出した今の状況を喜んだ。


 この年の夜市には、リンデンの軍隊の侵攻は無かった。

 静かで平和な夜市であった。

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― 新着の感想 ―
後の世ではこの辺一帯が魔導都市にでもなってそうな感じだね~。 そしてペトロちゃんあわや子供先生になりそうにw 浦鉄かって思っちゃったぜ
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