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魔女の道々  作者: 川獺右端
第六章 農村ガリバタから二年目
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第44話 夜市でみんなと遊び回る

 センター班の火魔女たちと一緒にターラーは夜市を遊びまわった。

 今回はカジノに行かなかったので、資金も潤沢にあった。

 エリカちゃんにみんなを紹介したり、ローパーちゃんに紹介したりした。

 賭け事無しでも、無料の音楽会があったり、価値のある魔導具が安く売っていたり、ワルプルギスの夜市は楽しい場所であった。

 魔女酒場でエールで痛飲したり、杖を鍛冶魔女さんに改造してもらったりして遊び回る。


 人生で一番ぐらいに楽しい一週間はあっというまに終わり、センター班のみんなは王都に帰る事になった。


「もっと居たいですーっ」

「次回はロッカさんと道々として来れば良いよ」

「おおおお、そうしまーすっ」


 四年経ったらポーラは十六歳で旅も出来るだろうね。とターラーは思った。


「私も一ヶ月間、まるまる、参加したいわ」

「やっぱり色々な魔女さんと知り合えるのは良いよね、すごく刺激になったよ」


 ハンナもサリーも夜市に居続けたかったが、一ヶ月にわたって参加するとホテル代がとんでもない事になりそうだ。

 工房の都市魔女の稼ぎでは、そんなにはお金は貯まらないだろう。

 今回は慰安旅行として旅費を工房に出してもらったから来れたという面もある。


「テントを背負って道々を行くの、あこがれちゃうなあ」

「私もやりたいけど、一人じゃ怖いわね、師匠と一緒じゃないと」

「わりと徒歩旅は辛いけどね、でもいろんな場所に行って、いろいろな風景が見れてそれは楽しい」

「「「いいな~~」」」


 やっぱり魔女は旅をするのが本式ね、とターラーは思った。


 次の日、ターラーとゾーヤは、大型馬車に乗って王都を目指す工房のみんなを見送った。


「みんなが行っちゃうと少し寂しいですね」

「明日は工房の『風』魔女衆がくるでよ」

「ニノンさん来ますか」

「あいつは道々だからな、来週来る予定だな」


 ニノンは師匠と一緒に年の半分は旅をして、半分は王都のガンドール工房で切り子細工の加工をして働いている。

 彼女の師匠はその間、王都近隣の迷宮などに行って稼いでいるらしい。

 ポーラちゃんが大人になると、ちょうどこういうシフトになるのかもしれない。

 ロッカさんが戦場で年の半分居て、ポーラちゃんはその間工房で働き、もう半分の期間を一緒に旅して暮らす感じだ。

 年を三つに分けたり、四つに分けたりで、魔女によって色々なのである。


 センター班のお友達が帰るとなんだか静かになってしまった。

 次の週にニノンが来たが、ターラーとはあまり仲良く無いのでつまらない。

 それでもワルプルギスの夜市は楽しい場所で、師匠と一緒にターラーは二回目の夜市を堪能した。

 初回と違って魔女として色々な経験を積んでターラーも貫禄が出て来たようだ。


 『算』の魔女、プラントがカジノの奧でつまらなそうに座って居るのを見た。

 相変わらず子供みたいな風体だ。


「ターラー、ルーレットをやっていきなさい」

「イヤですよ、自由自在に目を出せる人の所で賭け事とかしません」

「つれないなあ、夜市も中盤になると若い子が来なくなって暇なのさ」


 若い子からかっぱぐのが一巡するらしい。

 お金が無くなったらカジノには来ないしね。


「博打が強い魔女とか来ないんですか」

「ははっ、博打が強いって言っても確率にならすとだいたい普通なんだよ、出方が先か後かで変わる感じ」


 プラント師はルーレットで自在に目をだせるし、カードでも暗算で引く確率を読めるので大陸屈指の必勝ギャンブラーだ。


「アウネの街で賭場が立っているらしいじゃないですか、かっぱぎに行かないんですか」

「いやあ、夜市の外の賭場だと出禁くらっててね、馬鹿勝ちするんでヤクザが嫌がるんだよ」


 そりゃあ、『算』の魔女と競り合うのはヤクザでも厭だろうなあ、とターラーは思った。


 プラントがエールを注いでターラーに出し、自分も飲んだ。


「プロント師にエールを奢ってもらえるなんて!」

「そりゃたまにはな、干し肉も食え」

「あい」


 そんな日常をターラーは過ごし、いつの間にか一月が過ぎようとしていた。


 今回のワルプルギスの夜市も終了である。

 色々な要らない物を轟々と燃やして、歌って踊って酒をのんで閉会式だ。


 そして、ワルプルギスの夜市は終わり、魔女達はまた大陸中に散らばっていく。

 ゾーヤとターラーもまた街道を歩き始めた。


「次はどこへ行くかね」

「またガリバタ村に行きましょうよ」

「そうか、一月ほど厄介になるかね」


 街道をたどり、山を三つ越えて、一ヶ月ほど歩いてガリバタ村へと到着した。


 三年ぶりなので、アマリエ家の人達は大歓迎してくれた。


 子供だったオイリーはハイティーンの少女に育っていた。

 なかなか可愛くなった。

 ライモもがっしりしてきて、農家の男という感じになってきた。

 ターラーはなんだか懐かしい感じがしてアマリエ家が好きだった。

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