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魔女の道々  作者: 川獺右端
第六章 農村ガリバタから二年目
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第40話 ポーラちゃんは『白』魔女

 ターラーとゾーヤが連れ立ってカンドール工房に行くと、魔導炉の前で小さな子供と若旦那が待っていた。


「ああ、ターラー師おはよう」

「おあよます」

「おはようございます、トーマスさん、ええと、ポーラちゃん?」

「ポーラれす、よろしくターラー師」


 ポーラはぺこりと頭を下げた。

 本当に小さくて砂糖菓子のように可愛らしい魔女だった。


「朝番大変だったね、もう帰る所かな?」

「帰ってお母さんとご飯を食べて寝ます」

「そうなんだ」


 ポーラちゃんが可愛かったのでターラーは無意識でニマニマしてしまった。

 ハンナとサリー、あとセンター時間の魔女も出勤して来て、ポーラちゃんを囲んで、みんなでかわいさを堪能していた。


「今度、お姉さん達と一緒に魔導炉の限界記録に挑みましょうよ」

「キロクですかぁ?」

「そうよ、この魔導炉を回して限界温度まで引き出すの」

「わたしぃ、魔導炉をブンブン回すの大好きなので、やりたいですよ」

「うん、一緒にやろうよ。トーマスさん、ポーラちゃんのシフトを変えてセンター時間にしてください」

「うーん、朝もねえ、大事なんだが」

「キロクですよ、キロク」

「記録かあ、ポーラちゃん」

「わたしぃ、キロクに挑みたいですぅ」

「魔女の募集を掛けて新しい魔女が来たら、シフト替えを許可しよう」

「わ、トーマスさん太っ腹」

「記録を作るのは楽しそうね」

「センター七人体制ね、センター席での魔力コントロールが難しそうねえ」

「キロク、がんばりたいですっ」

「うんうん、一緒に記録を作ろうね、ポーラちゃん」


 ポーラちゃんは一人で工房を出て行った。

 彼女は近くのアパートメントで母親と一緒に暮らしているらしい。


 お昼は師匠と一緒に工場の食堂で食べる。

 ショートカットで目の細い、黒髪の子がゾーヤと一緒に来ていた。


「ターラー、この子はニノン、五枚刃だよ」

「ちゃーす、ターラー師」

「こ、こんにちはニノン師」


 なんだか、ゾーヤとニノンが仲が良いので、ターラーは口を尖らせた。

 師匠は気が付いて目を笑わせてターラーの頭をやさしく撫でた。


 工場の食堂は値段が安い分、味がまあまあである。

 沢山の魔女たちが昼食を取っていた。


「今日、『白』の小さい魔女に会いましたよ」

「おお、そうかい」

「でも、誰のお弟子さんなのかしらね、『白』だと良い師匠についていたのかな?」

「ポーラちゃんだろ、あれは都市魔女のガガン師だな」


 ハムサンドをかじりながらニノン師がターラーに答えた。


「指導力が偉いのかしらね」

「至って普通らしい、ポーラちゃんの天分の差だろうね」

「あら、ちゃんとした師匠が付けばもっと伸びそうだけど」

「まだ小さいからなあ、師匠替えは早いかもしれねえ。おかあちゃんもいるらしいしよ」


 ゾーヤはスープを飲みながらそう言った。


「師匠替えって?」

「魔女は師匠が気に入らなければ替える権利があんだよ」

「そんな権利が」

「ターラー師、師匠替えしなよ、そうすれば私がゾーヤ師の弟子になれる」


 ニノンがニヤッと笑ってそう言うので、ターラーはちょっとムッとした。


「ニノンやめろい、私は同属性の弟子は持たねえし、んで、弟子はターラーで十分だぞ」

「わあ、ありがとうございます師匠」


 ターラーは満面の笑顔でゾーヤに言った。

 というか、ニノンもゾーヤの弟子になりたいのか、とそう思った。


「主に都市魔女の師匠から、道々の魔女の師匠に替える事がおおいなあ。礼金もちっと要るし、なかなかなあ」

「あと、道々になると、どうしても別の場所に旅にでるんで、専属で雇ってもらえねえし」

「ニノンさんはお師匠さまは?」

「カノンってえ土魔女だ、今は一人で狩りしてんな、半年したら、一緒に旅に出て、廃鉱山とか探検するな」

「廃鉱山に?」

「師匠は鉱物に鼻がきくんでな、掘り出しもんを探すんだよ」

「へー」


 なかなか都市魔女も大変なんだな、とターラーは思う。

 ポーラちゃんは十歳ぐらいだから、師匠替えとかあるとしたら成人の祭りの歳、十五歳ぐらいか。


――同属性だけど、ロッカ先輩とかポーラちゃんの師匠になったら凄そうなんだけどなあ。

 ターラーはそう思って天井を仰いだ。


 魔女の師弟はゾーヤとターラーのように運命的にピピピと決まるケースもあれば、何となく師弟になり、なんとなく色々教える関係もある。

 人それぞれで色々違うのだ。


 お昼を済ませて、ターラーは魔導炉棟へ、ゾーヤとニノンは切り子細工棟へと別れた。

 四時頃まで元気に炉を回して、その後、ゾーヤと一緒にアパートメントに帰り、晩飯を作って食べる。


 工房は戦場に比べれば単調だが、安全に金を稼ぐ事ができる。

 痛し痒しである。


 晩ご飯をすませたら、入浴をして就寝である。


 今日はヘッダちゃんは夢の中には出てこなかった。

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