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カンナカムイの翼  作者: ななじぬぅす
第11章 鳳凰
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第90話 ドラゴンの宝珠

 降り注いだ瓦礫を押しのけて、命からがら堀から身をあげて夜空を仰いでから、消火作業と住民の救助に奔走する長い長い夜の果てに曙光が兆した。疲れた兵たちは、変わり果てた街の景色を呆然と眺めた。


 爆風で二の丸の火はすでに消えていた。イズモ神殿とその周辺は跡形もなく吹き飛んで、爆心地には巨大なクレーターができていた。本丸に林立していた宮殿の大半は吹き飛んで壊滅し、天守閣はまだ燃えていた。今日中に崩落するものと思われた。


 さすがのアカネマルも夜が明けきるまでは兵たちを休ませた。彼女がだした朝一の命令は、ドラゴンの宝珠を探せ、だった。


 爆心地のクレーターから少し離れた場所でツクネが発見された。ぼんやりとドラゴンの宝珠が光っていたからだ。ツクネは元の大きさに戻っていた。ギンを始めマムルークたちが囲んで眺めていた。


 顔見知りの兵士にお願いして、レンジはおんぶで運んでもらった。ゾーイの肩をかりて、応急処置をした腹を押さえながら現場に近づいた。


 我らが救国の霊鳥は黒焦げのぺしゃんこになっていた。ツクネはいつかどこかで見た始祖鳥の化石みたいだった。


「わりぃことしたな」ギンがつぶやいた。


 名前の通り焼き鳥になったと、文字通りの焼き鳥だとみんなが思っていたが、口にするにはあまりにもくだらないのと、仲の良かったらしいレンジに配慮して周囲は沈黙を守った。


 人の集まりを見つけて近寄ってきたチンチラが、レンジの後ろから覗き込んで「焼き鳥だね」と一言残して、投げっぱなしになっていた手裏剣を探しにその場を後にした。


 気まずい沈黙を破って、レンジはツクネの遺骸に手を合わせてから、ぱりっと音をたててその黒焦げを一切れつまんで匂いを嗅いだ。ゾーイに勧めると、彼女は静かに首をふった。


「どうすんだ?」ギンが聞くと、


「供養してあげるんだ」と言って口に入れた。もごもごしてすぐに唾を吐いて、

「にが……」と言った。


 変わったことするなこいつ、と思いながら、ギンはぼんやりとオレンジに光るドラゴンの宝珠を取りだした。


 宝珠は、あたしにちょうだいよ、とアカネマルが強引に所有権を主張した。どう考えても俺のだ、腹の中にあったんだから、というレンジの主張は誰にも聞いてもらえなかった。結局本物はギンが持つことになって、アカネマルは偽物を作って公式に所有を宣言した。権威ってやつよ、とのことだった。


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