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第81話 俺は謝らない
アカネマルからレンジが港にいることを知らされて、チンチラとギンは連れだって迎えにきた。
波止場にレンジを見つけて走り寄ったチンチラが抱きついた。しばらく頬を擦り寄せてから唐突に頭突きを喰らわせる。「がっ!」と叫んで眉間をおさえてかがむレンジの襟首をつかんで引きあげると「勝手にいなくなっちゃだめだろ!」とすみれ色の目に真剣な怒りをこめて怒鳴った。
レンジが「ごめん」とうめいて痛みを堪えているところへギンがくる。レンジはいたずらがばれた犬のように視線を泳がせてから、意を決してまず一言謝ろうと思って気をつけをした。チンチラの頭突きで開いた傷口からたらりと一筋血が流れた。
さあ謝れ、という表情を浮かべているギンを見て、レンジは謝罪を見送った。
ギンは血まみれで不遜な表情を浮かべているレンジの風態をよくよく眺めて、あきれて首をふった。
「おまえは頭が悪いから、そうやって一回一回ぼろ屑みたいになる運命だ」
「なんだよちきしょう」
「そうやって千回も挑戦すれば、そのうち一回ぐらいは男になれるかもしれない」
ギンはレンジの頭を抱きこんだ。
「いくぞ、今度は八匹だ」




