第61話 出陣式
張り切っているところがまた癇に障るというか。露骨な嫌悪を浮かべながらギンはその茶番を眺めた。戦の前にわざわざ出陣式などを敢行する神経が、ギンの武張った美意識を逆なでする。
遊んでんじゃねぇぞ。
広大な二の丸の中央広場に正規軍が整列して、華々しく軍服を着飾ったガスコインが儀礼の閲兵をおこなっていた。
自分が自分にいだいているイメージと実際に人にあたえるイメージが大きくずれていて、不格好な印象をぬぐえない。立居振る舞い、話し方、服装にもそれが端的にあらわれていた。
ギンは閣僚と高級軍人、官僚とともに出陣式に参列している。苦い表情を浮かべたまま隣のアカネマルに話しかける。
「アカネマル、よくあんなのと一緒に仕事してるな」
民衆の歓声にまぎれて周りの要人には聞こえない。
「またそうやってすぐに思ったことそのまま口にしたり顔にだしたりして、レンジにそっくり」
指摘されてギンは複雑な表情を浮かべる。
「俺がっていうより、あいつが俺に似てるんだ」
だからそう言ったのに。照れているのかなんなのか、わけのわからないことを言うギンが面白い。アカネマルは好ましそうに微笑んだ。
「尊敬されてるみたいね」
ギンの表情はますます複雑さを増した。
「あとであたしのところに来るように伝えておいてくれる」
ギンはアカネマルを鋭く睨む。
「レンジとジギラニラゾについての話は済んでるはずだ」
「ちょっとお話しするだけよ」
カンナビ正規軍を率いてガスコイン総統が出陣する。厚底のブーツで盛ったうえにさらに背伸びをしてダルエスサラームの民衆の歓声に応えていた。




