第一話 政志!
またまた書いてしまった...
「ふんふん~」
先日購入した新しい服に袖を通す。
結構高かったが、貧乏学生の俺もたまにはオシャレをしたいのだ。
(ご機嫌だな、政志)
「まあね」
<亮>が呟く。
奴にはどんな服が今日のイベントに合うか色々とアドバイスを貰っていた。
なんだかんだ言っても、<亮>の人生経験は侮れない。
あまり前世は多く語らない<亮>だが、その人生に於いて数多くの体験をしてきたのだろう。
(...合コンか)
「<亮>も行ったことあるのか?」
何回もやり直している亮の人生、中には大学生活を過ごした事もあったのか?
(まあな、気軽に女漁りするのは合コンが一番だ)
「...あのな」
やはり<亮>は<亮>だ、ブレ無いな。
(政志もその為に行くんだろ?)
「違う!」
そんな低俗では無い。
他の大学に通う生徒と交流する事で得る物は多いのだ。
(ならどうしてボクサーパンツ履いてるんだ?
普段はトランクスの癖に)
「...う」
(異性受けのする下着を教えろって、聞いたのは誰だ?)
「男の身だしなみだよ...」
畜生...痛い所突きやがって。
(まあ良いさ、確か今日の相手は瞬華女子大だったな)
「そうだよ」
お嬢様大学として名高い瞬華女子大学、綺麗な人が多くて有名なんだよな。
(楽しみだな、しっかりキメちまいな)
「何をキメるんだよ」
いきなりガッついて、退かれたらどうする?
ゆっくり俺の事を分かって貰って、お互いの理解を深めるんだ。
俺は随分誤解されている、安全な人間である事を知って貰わないと。
(自分の大学じゃ鬼畜扱いだからな、マトモな女は逃げて相手にされねえだけだろ?)
「お前のせいだろうが!!」
サークルの飲み会で一体何をしたか忘れたのか?
人の身体を乗っ取って、何人の女を襲ったと思ってるんだ!
(美由紀や史佳も大変だったしな)
「...そうだな」
元カノの池尻美由紀と幼なじみの山井史佳。
二人は根戸龍太によってセックス中毒にされていた。
なんやかんやあって、二人は俺のアパートに来て...まあ、なんやかんやあった。
(寝取り返したんだろ?)
「お前がやったんだろうが!!」
俺の記憶が飛んだのを良いことに、<亮>は二人をめちゃくちゃに抱いたんだ。
その後、付きまとわれてしまい、依存されて、無視すると遂に二人は大学まで押し掛けて来て、大騒ぎを起こしてくれた。
(ありゃ傑作だったな)
「お前な...」
騒ぎを聞き付け集まった俺の知り合いに、ウットリとした表情で素晴らしいセックスだったと触れ回ったんだ。
それから俺は大学でボッチになってしまった。
以前過ちをしてしまった、一部の女性達を除いてだが。
(また抱いてやりゃ良いじゃんか)
「冗談じゃない」
何度も言うが、俺がしたいのは美しい純愛なのだ。
その先にあるのが、セックスだ。
(アホらし)
「なんとでも言え」
例え何回寝取られようが、そこは譲れない。
(鋼のメンタルだな)
「そうか?」
そんな事は無いと思うが。
(いいや、普通の男なら女性不信になるか、寝取った男に復讐を考えるだろ?)
「そんなのは時間の無駄だ」
全ての女性がそうじゃない。
寝取られる原因が俺側に全てあると考えないが、寝取る男は一種の性癖だろう。
(...否定はしねえよ)
「<亮>...」
あっさり認めるんだな。
(まあ、彼氏持ちの女が合コンに来るのも悪いんだがな)
「お前は...」
恋人が居ても合コンくらい行くんだろ、なんでそれが悪いんだ?
(隙を見せたら負けだよ)
「勝ち負けじゃないだろ」
ダメだ、ここは分かり合えそうもない。
何度も言うが、美しい出会い、そこから育まれる一つの恋、そう考えられないか?
(...そんな女が今時居るかよ)
呆れた声を残し、<亮>はそれから出て来なくなった。
今日はアルコールを控えよう。
酩酊して、また<亮>が出たら台無しだ。
「どうも」
「お、来たな」
約束していた居酒屋の個室に着くと、今日の合コンをセッティングしてくれなバイトの先輩が俺を呼ぶ。
先輩は別の大学に通う大学四年、就職も決まっている。
「さあ始めるか」
「はい」
テーブルを挟み女性達を見る。
今日の合コンは男性四人と女性四人。
男性は全員バイト仲間でみんな違う大学に通っている。
その中に一人気に入らない奴も来ていた。
馬場満夫。
女癖が悪く、バイトの女の子も数人奴の毒牙に掛かっていた。
「...嘘」
一人の女性が俺の顔を見て絶句している。
誰だろう、どこかで見た事のある...
「まさか紗央莉か?」
「政兄...なの?」
「なんだよ、知り合いか?」
満夫の言葉など耳に入らない。
彼女の名前は涅鶏紗央莉。
三歳の時、親父が再婚した義母の連れ子で俺より一つ下の義妹だった人。
『兄ちゃん大好き!』
ずっと俺に懐いていた紗央莉。
『ごめんね、もう私は先輩の物なの...』
二年前、自宅で男と裸で抱き合う姿を見た俺に紗央莉が言った。
それ以来の再会だった。




