カエルさんとお星さま
とある井戸にカエルのけろさんは住んでいました。
今年の春先にカッパのたろうさんを探して旅をはじめました。
冬が目の前に迫った秋。
眠る場所を探していたけろさんはヒツジのめぇこさんと出会いました。
めぇこさんはけろさんの話を聞いて、おうちの一部屋を貸すことにしました。
けろさんは悩みましたが、めぇこさんの言葉に甘えることにしました。
冬になり、眠たくなってきたけろさんでした。
けれど、めぇこさんのもてなしがとても素敵で、眠ってしまうことがもったいないほどです。
けろさんは初めての眠らずの冬にとてもわくわくしています。
*****
けろさんは先日カタツムリくんに届けてもらった手紙や新聞を整理しています。
少し眠いけろさんは、大きなあくびをひとつしました。
そこへめぇこさんが新聞を持って現れました。
「けろりん!
今夜は流星群が観えるみたいなの。
一緒に観ましょう?」
けろさんは「流星群……?」とピンときていないようです。
「もう!
流れ星がいっぱいなのよ~。
願い事も考えておかないとね」
ウキウキしているめぇこさんにけろさんは分からなかったことを尋ねました。
「願い事をどうして考えるの?」
その言葉にめぇこさんはこう答えました。
「あらあら。
流れ星に三回願い事を伝えられたなら、その願い事が叶うのよ~」
めぇこさんの言葉にけろさんはふむり。
願い事を考えてみるのでした。
*****
そしていよいよ、夜になりました。
けろさんはめぇこさんの家の窓から流れ星を観るのだと思っていました。
めぇこさんはそんなけろさんの姿を見て叫びました。
「なんて味気ないの!
流れ星にお願いするのだから、お外に出ますわよ。
さあ、この防寒服を着て、マフラーを巻いて、手袋をして……。
そうそう、そうすれば暖かいでしょう?」
そう、めぇこさんはけろさんために防寒対策をしっかり用意してくれていました。
けろさんの暖かそうな姿を見て、めぇこさんもにっこりして満足そうです。
そうして。
二匹は夜空のよく見える丘にやってきたのですが、先客がいるようです。
その子は丘の途中にいるけろさんとめぇこさんに聞こえるくらいの大きな声で泣いています。
「えーんえーんえーん」
けろさんとめぇこさんは顔を見合わせました。
小声でどうするか話をした結果、とりあえず泣いている子の話を聞いてみようということになりました。
丘を登りおえると。
なんとそこには小さなお星さまがいました。
泣いていたのはお星さまだったようです。
けろさんが思い切って声をかけました。
「こんばんは~……。
だ、だいじょうぶ?
ケガでもしたの?」
お星さまはけろさんとめぇこさんに気付くと、びっくりしたようでした。
いっしゅん、お星さまは泣き止んでシーンと静かになりました。
けれどすぐに、お星さまは泣きはじめてしまいました。
「ぐすっん。
だいじょうぶだもん!
ケガなんかしてないもん!
でも……。
えーんえーん」
どうして泣いているのか。
そもそもどうしてお空ではなく丘の上にいるのか。
尋ねてみてもお星さまは泣くばかり。
そうこうしているうちに、お星さまがいくつも尾を引いて流れはじめました。
小さなお星さまはより大きな声で泣くのでした。
そこへ大きなお星さまがふたつ流れてきました。
「ああ、ぼうや。
こんなところにいたのね!
心配したのよ」
「お、おいらだってひとりでお散歩できるもんっ。
迷子になった訳じゃあないんだもん……」
小きなお星さまはどうやら迷子になって泣いていたことがわかって、ホッとしたけろさんとめぇこさんでした。
大きなお星さまふたつに連れられて、小さなお星さまはお空へとかえっていきました。
最後に、小さく本当に小さな声で小さなお星さまはけろさんとめぇこさんに祈りを残していきました。
「ふたりに楽しくて嬉しいことが訪れますように」
*****
「びっくりしましたわね」
「うん、でも無事に見つけてもらえて良かったね」
「そうね、安心しましたわ」
もうその頃には流れ星はありませんでした。
けろさんもめぇこさんも流れ星があまり観えなくて残念な気持ちより、小さなお星さまが無事かえれたことを喜ぶのでした。
それからそれから。
めぇこさんの家に昔からのともだちであるウサギさんが訪ねてきてくれました。
そうしてみんなで楽しい年越しを迎えるのでした。
ちなみに。
けろさんは冬の幸せ太りをしてしまうのでした。
ぴょこたん ぴょんころ ぴょんたろす
はなしはおしまい
またね