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確信

「やあ、ミレーナ」


授業に遅れるとまずいと思い、教室まで近道しようと中庭を走り抜けようとしたらカルロに捕まった。

この男は学園に寝に来てるのか?


「ちょっと急いでるんだけど?」


「まったく、貴方は本当になびかないですね」


言いながら壁際まで詰め寄られた。

またこのパターンかい?


「……こんな場面でも貴方は平然としてるんですね」


いや、そんな事は決してない。

ただ、隙を見せてはいけない気がするだけさ。


「婚約者は決まりましたか?」


「いや……」


「そうですか……残念です……」


残念?まだ答えは出てないはずだよ?


「……父に結婚を急かされてましてね。私は決められた婚約者と結婚する事になるでしょう」


はっ?カルロが結婚?

確かに王子だから、跡取り問題もあるだろうが……。

それにしても急だな。


そんな事を考えていると、急に距離を詰められた。


「それとも……ミレーナが私を貰ってくれますか?」


耳元まで顔を近づけ、息のかかる距離で囁かれた。

その瞬間、自分でも分かるほど顔が赤くなった。


「ふふっ、冗談ですよ」


カルロに頭をポンとされた。

その思いもよらない行動に、柄にもなくドキッとしてしまった。


「ほら、早く行かないと本当に遅刻ですよ?」


「あっ!まずい!」


全速力で走り込んだが、結果は……遅刻だった。



「どうかしたんですか?具合でも悪いんですか?」


机に伏せっていたら、カナリヤを心配させてしまった。


「大丈夫だよ。ただ考え事してただけさ」


カルロの話を聞いてから、何故かモヤモヤして落ち着かない。

こんな事一度もなかった。何故モヤモヤしているのか分からなくてイライラする。


「それならいいんですけど……もし、宜しければ相談に乗りますよ?あまり役に立たないも知れませんが……」


カナリヤがおずおず言っていたが、相談できる相手がいると思うだけで有難い。


「少し……聞いてくれるかい?」


「ええ、喜んで」


そうして、ぽつりぽつりとカナリヤに話してみた。

ジルベルトとの事、アレンの事、そしてカルロの事も。

三人とも大事な親友だと思っているが、気になる奴がいる事も。

それが恋なのか分からないと。


「……そうですか」


話を聞き終えると、カナリヤが背筋を伸ばし私の手を握ってきた。


「いいですか、ミレーナ様。私には気になっている方が誰なのか分かりませんが、例えばですよ?その方がミレーナ様ではない、違う方と婚約なり結婚をされた時を想像してください。どんな気持ちですか?」


「私以外の奴と……?」


正直気に食わない。あいつの隣にいるのは私でいい。


「どうです?なんとも思わなければそれは恋ではありません。反対に嫌だと思えば、それはもう友から好きな人に変わってるんですよ」


そう……なのか?

私は知らぬ間に恋をしていたのか?


「ミレーナ様が誰を選ぶのか分かりませんが、私は応援してますよ。その想いを大切にしてくださいね」


ああ、なんだか胸のつっかえが取れたようだ。


「カナリヤありがとう。おかげでスッキリしたよ」


「いいえ。ミレーナ様のお役に立てて嬉しいです」


今度お礼をしなきゃならないね。

さぁ、結論が出た。

女は度胸だ!一世に一度の告白と参るか。


──柄にもなく、照れるねぇ。

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