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恋心

兄様にはああ言ったが、実は少し気になってる奴がいる。

ただこれが恋なのかは分からない。

でも、ふとした瞬間に顔が思い浮かび、「今何をしているんだろうか?」と度々思ってしまう。


そして長期の休みも今日で終わる。


「ミレーナ様、ジルベルト様がお迎えにいらっしゃいました」


「ああ、ありがとう。今行くよ」


今日はジルベルトとの稽古の日。

いつもの格好に着替え、ジルベルトの待つ正面へ。


「待たせたね!」


「いや、問題ない」


そして、馬に跨りいつもの演習場へ。

最近馬に乗ることを覚えた。これが、風をきって気持ちいいんだ。

若い頃、バイクを乗り回してたのを思い出す。


「よし!やるか!」


「ああ、どっからでもこい!」


いつもの様に打ち合いが開始される。

そして、いつもの様に勝負がつかない……かと思われたが。


カーーーン!!


私の木刀が飛ばされ尻もちもついた。ジルベルトの勝ちが決まった瞬間。


「あ~あ、負けちまったか」


「いや、ミレーナは腕が本調子ではなかっただろう?」


確かに、受けるとまだ傷に響くがこれはジルベルトの努力の賜物だ。悔しくない訳ではないが、これからの糧になる。


──潔く負けるよ。


ジルベルトが手を差し出してくれたから、有難くその手を取る。

しかし、ジルベルトに思いっ切り引っ張られたせいで、ジルベルトの胸の中へ。


「あっ!すまん!」


急いで出ようとするが、抱きしめられ出れない。


「ジル……」


抱きしめられたまま、ジルベルトの顔を見上げると、その顔が目の間に合った。


あっ……。


気づいた時にはキスされていた。

アレンとは違う深いキス。


「……すまない……だが、俺をお前に刻みたかったんだ。……俺は本気だから」


こういう事に慣れていないのだろう、ジルベルトは顔が真っ赤だ。多分私も。


「あ~、今日はこの辺にするか!送って行く!」


ボ~とした頭のまま、屋敷に戻ったらサラに「何、呆けてるんですか!?」と怒鳴られ、正気に戻った。

こういう時、サラがいると助かる。



「ミレーナ様!!おはようございます!!」


休みが明け、今日からまた学園だ。

学園の門をくぐると早速、カナリヤが駆け寄ってきた。

この子は毎度毎度タイミングよく来るが、待ち伏せかい!?


「おはよう。相変わらず、元気そうだね」


「元気だけが取り柄ですから!」


ふふっ。こっちまで元気になるね。


「あっ!そう言えば、アレッシオ殿下が探してましたよ」


到着早々呼び出しかい!?


「個人相談室へ来るよう言われましたけど……何かしました?」


「いや、大丈夫だよ。仕方ない、行ってくるよ」


個人相談室か……。

あまり密室は避けたかったな。


コンコン


「ミレーナです。アレン様おります?」


「ああ、入れ」


ガラッと開けると、既にソファに座っている。

これは、向かいに座れって事か?

向かいのソファに座ろうとすると


「そっちではない、こちらへ座れ」


指定された場所は、アレンの隣。

無理。


「いえ、こちらで失礼します」


そう言って、向かいのソファに座った。


「そうか、なら……」


アレンがおもむろに立ち上がり、隣にドカッと座った。

これじゃ断った意味ないだろうが!!

極力距離を取ろうとするが、その度距離を詰められる。


「ちょっと離れてくれますか!?」


「なぜ?」


なぜって、お前には一度キスされてんだ!警戒して当然だろう!?


「それは男として見てくれてる証拠か?」


「は?」


トスッ


ソファに押し倒され、アレンが馬乗りになる。

これは貞操の危機じゃないか?王族殴ったらまずいかね?

いや、この場合自己防衛になるか?


「……このまま既成事実を作ってもいいんだが、それだとお前の身体は手に入るが、心までは手に入らんだろ?」


「そう……ですね」


結構冷静に話しているが、内心バクバクだ。

こんなシチュエーションになったことすらないんだから、どんな対応が正解かわからん!

恋愛の一つや二つしとくんだった!


「私としても、嫌われるのは本望ではない。今日はこれで我慢しとく」


アレンの顔が近づいてきて、反射的に目を閉じるが、触れたのは口ではなく額だった。


「期待したか?」


「なっ!!」


どこかイタズラっ子のような顔でニヤつき、私の上から下りた。


「さて授業が始まるぞ、新学期そうそう遅刻か?」


「誰のせいだと思ってる!?」


──もう、心臓がヤバい。


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