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混乱

どうやって会場に戻ってきたのか、よく分からない。

こんな経験初めてで、どうしていいのか気持ちの整理がつかない。

だけど、時間は待ってはくれない。


──早いとこ皆の所に戻らなければ。


「あっ!ミレーナ様!」


早速カナリヤが駆け寄ってきた。


「……どうしたんですか?お顔が少し赤い気がしますが……?」


「い、いや、なんでもないよ。それよりカルロはいたかい?」


これ以上突っ込まれないように話を変えよう。


「あっ、カルロ様ならあそこに……」


カナリヤの指さす方を見ると、令嬢達に囲まれたカルロがいた。

第三とはいえ、やはり王子だな。カルロの外見も女ウケがいいんだろ。

しかし、あんな囲まれている所に行くのも気が引けるな。


そう思っていると、カルロと目が合った。

すると令嬢達を除けてこちらへやって来た。


「こんばんは、ミレーナ。今日も美しいですね」


「ご機嫌よう、カルロ様。この度は夜会へ招待いただき、ありがとうございます」


ここは社交の場。ちゃんとしなければセルヴィロ家の品が疑われる。


「そんなにかしこまらなくていいですよ。ゆっくり楽しんでいってください」


さらっと言って、また令嬢達の元へ。

あれ?なんだか拍子抜けだね。

しかし、カルロは女を囲うような人間だったか?

いや、むしろ女達を冷たくあしらう様な奴だった。

特に、外見や権力しか見ていない女は大嫌いだった。……はずなんだけどな。


「カルロ様って、あんなに女性に軽々しく触れるような方でしたか?」


カナリヤですらも不思議に思っている。

何か考えがあっての行動か、それともこちらが本性か……。


「あれ?ダンテとマウロはどうした?」


「あ、人の多さに酔ったみたいで少し外の空気を吸いに出ています」


無理もない。化粧の匂いや香水の匂い。そこに食べ物の匂いまで混ざってる。慣れてなければ正直キツい。

しばらく戻っては来ないだろう。


「仕方ない。飲み物でも貰ってこようか?」


「そうですね」


グラスを手に、カナリヤと隅によって会場を見渡す。

カルロは相変わらず令嬢達と、アレンはジルベルトを後ろに付け、側近達と話をしてる様子だった。


「アレッシオ様が気になるんですか?」


「そんな事ないよ!」


カナリヤの鋭い質問に思わず声が裏返る。


「ふふっ。ミレーナ様は嘘が下手ですね」


カナリヤがほほみながら言ってくる。

多分顔が赤くなっているんだろう。顔が熱い。


その時、ボンッ!と何かが爆発し辺りは煙に包まれた。


「キャーーーー!!!」


「何が起こったんだ!?」


「おい!どけ!邪魔だ!!」


辺りからは悲鳴や怒号、ガラスの割れる音など夜会が一変して惨状だ。


「カナリヤ!私から離れるんじゃないよ!」


「はい!」


気丈に振舞おうとしているが、身体を抱くと震えているのがわかる。

まったくこの子は強がってばかりだね。

さて、こんな事もあろうかと銃を忍ばしといて正解だった。

スカートを捲り上げて太ももに括りつけた銃を取り出す。


「お嬢!!」


ダンテが呼んでいる。煙で姿が見えないのだろう。


「ここだよ!」


姿が見えなければ声を頼りにすればいい。

しばらくしたらダンテの姿が見えた。


「お嬢!無事か!?」


「ああ、何があった?」


「今先輩とマウロが探ってる。俺はお嬢達の無事を確認しに来たんだ」


「助かるよ」


とりあえず、カナリヤをこの場から早いとこ避難させなければいけないからね。


「それじゃ、ダンテ………」


ダンテにカナリヤを頼もうとした瞬間、目の前に剣が振り下ろされた。

咄嗟にカナリヤを庇ったから頬が少し切れた。


「っっぶねぇ!!」


「ダンテ!剣寄越しな!それと、カナリヤを頼む!」


「お嬢は!?」


「どうも、私に用があるらしいからね。話を聞こうじゃないか」


迷いなく私に剣が振り下ろされたからね。間違いない。

それなら、私一人残ればいい。


「あ゛~~!!わかったよ!死ぬなよ!!」


「えっ!?ダンテさん!!ミレーナ様が!!」


ダンテはカナリヤを脇に抱えて、避難してくれた。

これで安心。


──さて、どなたさんかね?

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