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夜会

何も掴めないまま、夜会になってしまった。

カナリヤのドレスはピンクのもの。ふんわりレースで腰の部分に大きなリボンの付いた可愛らしいもの。

私のはブルーと黒を基調にして、胸にフリルが付いていて一見可愛らしく見えるが、後ろを見るとザックリ背中が開いたドレス。

毎度毎度侍女の選ぶドレスは、決まって露出が多い。

ま、カナリヤみたいなのは似合わないんだけどさ。

そして、ギリギリまで行かないと言い張っていたダンテとマウロだが……。


「おや、似合うじゃないか」


「ダンテさんもマウロさんも素敵ですよ!」


名目は護衛だからね。近衛兵の制服を取り寄せてもらったが、中々いいじゃないか。


「そうか?」


「窮屈で動きにくいですね」


カナリヤに褒められて、満更でも無さそうだ。

ちなみに、エリオは顔が知られると後々不都合だからって事で不参加。でも、どっかで見てるらしい。


「さてさて、準備も出来たし行くか!」


──何事も無く終わればいいけどね。



会場内は、それはそれは華やかだった。

人も食べ物も。

カナリヤとダンテ、マウロは食べ物に釘付け。

食べるより先に主催者に挨拶しなければいけない。

令嬢としてのマナーはしっかり守らないとね。

しかし、人が多すぎてカルロが何処にいるか分からない。

キョロキョロ辺りを見渡していると……。


ん……?んん!!?


この場には居るはずのない人物が目に入ったもんだから、思わず二度見しちまった。

その人物は……。


「あの、ミレーナ様?あの方、アレッシオ殿下じゃないですか?」


ああ、カナリヤも気づいたか。

しかも、隣にはジルベルトまでいる。


「そう……だよな?」


居るはずがないと思っているからか、疑問形になってしまった。

そんな私らを尻目にアレンとジルベルトがこちらにやって来る。


「やあ、ミレーナ。久しいね」


「あら、アレン様。数日前に学園で会ったばかりじゃないですか?そんな事もお忘れで?」


ニコニコしているが、目が笑っていない。

しかし、あえていつもの感じで対応する。


「ジルベルト様まで、どうしたんですか?」


「ああ、こいつは私の護衛としてついてきている。まだちゃんとした騎士ではないが、腕前は私が保証しているからな。それに、ミレーナがいる隣国に行くと言ったら、こいつが連れてけとうるさくてな」


「で、殿下!!そんな事言っておりません!!」


顔を真っ赤にしてジルベルトが反論するが、アレンはどこ吹く風。


「時にミレーナ。少し話がある、ちょっと付き合ってくれるか?」


「はっ?」


「ミレーナ様!?」


断る間もなく手を引かれ、カナリヤの声を最後に会場を出た。

そして連れていかれた場所は、人気の無い廊下の踊り場。

壁に背を預け、アレンと向き合う。

ああ、昔流行った壁ドンってヤツか?

壁ドンって、壁殴るもんだと思ってたよ。

若い衆に笑われたっけな。どんだけ恋愛してないんだよ!って。


「何考えてる?」


あっ、回想してる時じゃなかったか。すまんね、年取ると昔が懐かしいんだよ。


「ミレーナ。私が言いたいこと分かるよな?」


「さぁ?なんの事でしょう?」


だいたい検討はついているが、しらを切る。


「まったく……お前にエリオを付けてるだろ?エリオは私の直属の部下だ。上司である私に報告は義務なんだ。当然、今回のこともな」


はあ?エリオの奴!!裏切ったね!!


「で、何故私に報告しなかった?」


「いや、普通旅行行くのにわざわざアレン様の許可必要ですか?必要ないですよね?」


名目は旅行なんでね。


「普通の旅行なら許可など要らん。()()()ならな!今回のはカルロに誘われて来たものだろ?」


「ええ、誘われましたけど旅行ですよ?」


「お前には危機感というものがあるのか、ないのか不安になる時がある」


若干呆れられながら言われたが、何が気に入らないのかわからん!


「まどろこしい言い方止めてくれます?言いたいことあるならハッキリ言ってください」


「そうか……。ま、お前相手だからな。ゆっくり責めるより行動に移したほうがわかり良いだろ」


「だから、なに……」


言い切る前に、唇に柔らかく温かいものがふれた。


はっ………?


触れていた時間は数秒だったが、それ以上に思えた。


「これからは、もう我慢はしない。覚悟しといてくれよ、婚約者候補殿」


ニコとし、アレンが立ち去って行く。

その後ろ姿を、ただ見つめる事しか出来なかった。


──……キス……?



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