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盗賊

なんとか、無事に宿を見つけ一泊できた。

カナリヤと同室で、夜中まで話をした。

女同士で話し込むなんて、修学旅行みたいだったな。

そもそも、こんな風に話してくれる奴が昔は居なかったな。

幼い頃から後ろに強面の男が着いて歩いてれば、怖がって近寄っては来ない。

昔はそんな生活が普通だと思っていたが、こちらの生活も悪くない。


──むしろ、楽しいぐらいだ。


カナリヤは夜遅くまで起きていたこともあり、馬車の揺れに眠気を誘われて眠っている。

サラは、私の隣で編み物をしている。

この侍女はなんでも出来るな。

私は窓の外を見ながら、見たことの無い景色を楽しんでいた。

今馬車は町外れを走っている。

このまま行けば、夕方頃にはカルロの待つアルデガニ国に着くらしい。


「ん?」


外の景色の中に「チカッチカッ」と光るものが目に入った。


──なんだ?


その光がこちらに向かってきた。

そして気づいた。


──矢!?まずい!!!


「みんな伏せろ!!」


さすが元暗躍部隊のサラだ。こういう場面にも慣れている。

すかさずカナリヤを護りに入った。

皆が伏せた瞬間に、矢が飛び込んできた。


カナリヤは、何が起きてるか分からない様子で震えている。


「エリオ!!」


「はい。南東の方から飛んできましたね。距離的に遠くないですね。もうすぐ来るんじゃないですか?」


「まったく、こんなとこで足止めくらうとは……。しょうがない、お客様をお出迎えするとするかね」


カナリヤはサラに任せて、剣を持ってエリオと一緒に外へ出た。

すると、何頭かの馬がこっちに走ってくるのが見えた。当然、人が乗っている。


「数はそんなに多くないね。二人で防げそうだね」


「楽勝ですよ」


エリオがピョンピョン跳ねながら言ってきた。

準備運動のつもりらしい。


「エリオ、殺すんじゃないよ。生け捕りで」


「えっ!ダメなんですか!?生け捕りって力加減が難しいんですよ」


はなから殺すつもりだったのかい。

盗賊ってのは、大概平民の成れの果てだ。

まだ更生がきくかもしれない。

可能性がある限り、その可能性の方にかける。


「さっ、客人の到着ですよ」


そこには15頭程の馬が男等を乗せて立っていて、一番前の男が降りてきた。


──こいつが頭か?


見た目は三十路程か?盗賊の頭にしては、まだ若い。

周りを見渡せば、周りの奴らもまだ若い。

中には十代に見える奴もいる。


「中々上等な服を纏ったお嬢様だな。その服汚したくなければ、金目の物すべて置いてきな」


「おや、そいつは困ったねぇ。これからちと、約束があるんだよ。こんなとこで油を売ってる暇はないんだけどね?」


「度胸の座ったお嬢様だ。悪いことは言わねぇ、さっさと置いてきな」


「断る……と言ったら?」


男の顔がピクっとする。

悪いね。そこら辺の令嬢とは違うんだよ。


「なるほど、お嬢様は早死がご要望らしい。……お前ら!!」


馬から数人降りてきた。


──なんだい?これっぽっちでやるのかい?


「もう一度聞く。荷物を置いていくか、ここで俺達に殺られるか、どっちにする?」


「そんなもん、決まってるだろ?」


そう言って剣を構える。


「そうかい……お前らやっちまえ!」


──やられるのはどっちかねぇ?


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