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隣国

さて、長期休みまで残り半月。

あれからカルロには何度も断りを入れているが、はぐらかされ続けている。

このままではまずい。何とかせねば。


「ん~。困ったねぇ」


「おや?悩み事ですか?」


バチンッ!


「なんだい!エリオかい!!驚かせないでおくれよ」


気配もなく、急に後ろから声がするもんだから条件反射で手が出てしまった。


「いてぇ~。ちょっとは加減してくださいよ」


「そう思うなら、気配を消さないでくおくれよ」


「あははは。すみません、癖なんです。で、何をお悩みで?」


「ああ。ちょっと隣国に行かないかって、誘われててね」


「隣国?アルデガニ国ですか?なんでまた?」


「こっちが聞きたいよ」


この話はカナリヤが行くことになってんだよ。

私が行く意味がわからない。


「それはミレーナ様一人()()誘われたんですか?」


「へ?」


そう言えば、「一緒に来ませんか?」と言われただけ。人数は聞いてない。

聞く人によっては、「二人で」とも取れるが……。

この際、細かいことは置いておこう。要は言葉の取りかただ。


「それなら、カナリヤも一緒に連れて行けばいいんじゃないか!」


多少違いはあるものの、原作通りになる!


「俺も行けますけど?」


「なんで、あんたが着いてくるんだい?」


「だって、ミレーナ様が隣国に行ったら面白いことありそうじゃないですか」


不吉な事は言わないでおくれよ。

これからは、平穏に過ごすんだよ。


しかし、エリオが着いてきてくれればいざと言う時に都合がいいのも確かだ。

旅は道づれってか?


「ちょうどいい、隣国に旅行として皆で行くか!?」


「それはいいですね……殿下は誘わないんですか?」


あぁ、どうしたもんかねぇ。

誘ったら絶対付いてくるよあの王子様は。

一応、王子だからねぇ。何かあったら責任は取れない。


「何かあると面倒だから、黙っといておくれ」


「……知った時の方が面倒くさそうですけど……」


エリオが何か言ったみたいだが、旅行の事で頭がいっぱいで聞こえなかった。


「ん?なんか言ったかい?」


「いいえ」


この選択が後に後悔することになるとは、思いもしなかった。



「私もご一緒して宜しいんですか!?」


「ああ、カナリヤが良ければな」


次の日カナリヤに隣国に行かないか?と誘ってみた。

カナリヤとは二人きりの時だけ、素の私で話をする。

中庭事件の一件から、令嬢モードで話をしたら気持ち悪がられた。

それからは二人の時だけ素の私に戻る。


「もちろん行きます!!ミレーナ様と旅行なんて夢のようです!」


「旅行って言っても、隣国だけどね」


カナリヤに話す前に、一応カルロに話を通しておいた。

最初は渋い顔していたが、承諾してくれた。

泊まるところは、カルロが用意してくれるらしい。

幾つになっても、旅行の計画する時は楽しいもんだねぇ。ワクワクする。


「アルデガニ国は、農産物が豊かだと聞きます。美味しい物、沢山あるといいですね」


まったく、純真だね。

ま、皆に愛されるヒロインだからね。

この子はこのままでいなければいけない。

いや違うな、このままでいて欲しいんだ。


──ヒロインも大変だ……。



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