表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/46

黒幕の末路

「ミレーナ!!」


「アレン様、この度は色々とご迷惑おかけしました」


切り株に腰掛けている私の元にアレンがやって来た。

今の姿はとてもじゃないが、令嬢には見えない。

スカートは膝上まで破られ、顔や足には銃弾を受けた時の傷、そして返り血で真っ赤に染まった服。

そんな私に、アレンが上着を脱いで膝元に置いた。

素足を見せるなんて、無作法だったか。


「こんな格好で申し訳ありません。足腰が立たなくて」


「そんな事はどうでもいい!!」


怒鳴ると同時に抱きしめてきた。


「本当によかった。ミレーナが無事で……」


抱きしめてきた手が震えている。

心配かけちまったね。

もう大丈夫だ。私は生きているから……。

アレンを抱きしめ、頭を撫でた。

私の温もりが届くように……。



あの後、足腰立たない私は兄様にお姫様抱っこされ、屋敷へと帰ってきた。

サラは、あれだけ動いたのに平然としていた。

私もまだまだ鍛え方が足りないみたいだね。

ジルベルトに鍛えてもらおうかね?


屋敷に戻ってきた時の、使用人達の顔が忘れられない。皆顔を青ざめ、絶句していた。

爺やなんて、腰抜かすほど驚いてたからな。

悪い事をした。


コンコン


「レーナ、入るよ?」


「どうぞ、兄様」


王宮に行っていた兄様が帰ってきたらしい。

私は足腰立たず、ベッドの上での出迎えだ。


「ソニアの事だが、婚約解消。アルカンディニ家は爵位剥奪の上、領地の返還、屋敷の取り壊しが決まった」


「えっ!?この件はソニア様の独断ではなかったのですか?」


「いや、ソニアのお父上も加わっていた」


「は?」


「どうやら、アルカンディニ家は財政難だったらしくてね。そこにソニアと僕の婚約話だ。娘が侯爵家に入ればアルカンディニ家としても箔が付く。それに上手く行けばセルヴィロ家自体が手に入ると」


なるほど、頭の悪い奴が考えそうな事だ。

セルヴィロ家が手に入るだと?うちの連中も甘く見られたもんだねぇ。

そんな事、絶対ありえないのに。


「で、ソニアにレーナがいると侯爵家を上手く乗っ取れないと言われ、暗殺者を雇いレーナを狙ったと言うわけさ」


全ては、愛に溺れた哀れな令嬢、そして金と権力に溺れた愚かな伯爵の起こした事件ってことか……。


「そしてソニア自身だが、死刑が決まった……」


「そう……ですか」


義姉だと思ってた人間が死刑か……。

仕方の無い事だとわかっているが、残念でならない。

兄様の方が、よっぽど傷ついてるに違いない。

原作では、ロベルトという男はミレーナ命のように描かれていたが、兄様は違う。

言葉ではミレーナが一番だと言ってはいるが、それなりにソニアを愛していたんだと思う。

ソニアと話してる時の兄様、優しい顔をしていたからな。

あれは恋する男の顔だったよ。


──気づいていたかい?兄様……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ