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婚約者はいりません

前世の記憶を思い出してから3年の月日が経ち、私は8歳になった。


「はっ!!」


「そこまで!!」


私は今、兄と剣術の稽古の真っ最中。


「レーナ、また強くなったね」


「いえ、まだまだです。兄様に勝てませんもの」


この3年間、私は剣術をマスターしようと頑張った。

しかし兄様には、どんなに頑張っても勝てない。

正直、剣には自信があっただけに悔しい。

前世の私は、日本刀を使わせれば組一番の腕前だったのだ。


「僕がレーナに負ける様では、セルヴィロの次期当主は務まらないよ」


──それは、もっともなんだが。


「坊っちゃまもお嬢様も素晴らしい腕前です。爺は嬉しいですぞ」


私達二人の剣の先生は我が家の執事、爺やだ。

爺やは元騎士団長を勤めていたが、怪我をして団長を退いた所で、父様が家に勧誘したのだった。

元騎士団長というだけあって、腕前は確かだった。


──怪我をしたと聞いていたが、ハンデを感じさせない身のこなしだ。


「そういえば、レーナ。今日は父様から話があるみたいだね?」


「ええ。稽古が終わったら、来るよう言われています」


今朝、朝食を取りながら父様に「大事な話がある」と言われた。


「ふ~ん。じゃぁ、もう行った方がいいね」


「ええ。ではお先に失礼します」


──嫌な予感しかしない。



コンコン


「父様、ミレーナです」


「入りなさい」


ドアをノックして、父様の書斎の扉を開けた。

父様は忙しそうに、ペンを走らせている。


「失礼します。お忙しかったでしょうか?出直しますか?」


「イヤいい。そこに座りなさい」


カチャと掛けていた眼鏡を外し、ソファへと足を運ぶ。


「レーナ。お前も8歳だ。そろそろ婚約の話が出てくる時期になってきた」


婚約……?

この単語はまずい気がする。


「ありがたい事に、第一王子殿下からお声がかかっている。……本音を言えば、私はまだ婚約など早いと思っている。しかし、お前の幸せを考えると家柄の良い所に嫁ぐのが一番だと思うんだ」


そうだ。原作では殿下との婚約が決まり、次期王妃だと周りを威圧していた。

学園に入学すると、愛らしいヒロインに殿下も次第に心奪われていく。

そして、そのヒロインに嫌がらせを繰り返すミレーナに殿下は激怒し、婚約破棄され、断罪、死刑になる。


──これは、まずいね。まずは殿下と婚約しないようにしなきゃね。


「……父様。殿下からの申し出嬉しく思います」


「そうか!ならば……」


「ですが、私に王妃は無理です。見てください、この手を。剣術で出来た豆がいくつもあります。それに、殿下も私もまだ子供。これから先、いくらでも出会いがあります。早急に決めるものではないと、思っております」


一気に言うと、父様はポカ-ンと口を開けたまま動かない。


──しまった!言いすぎたか!?


「……レーナは本当に8歳なのか?」


──やはり言いすぎたか。中身は三十路を超えているからな。子供に生まれ変わるのも、良し悪しだな。言い方が難しい。


「えっと、父様……?」


「わはははは!うちの子は聡明だな!父様は誇らしいよ!」


言い訳をどうしようか考えていたら、父様が笑いだした。


「そうだな、レーナの言う通りだ。お前達にはこの先出会いがいくらでもあるんだ、その時お前が選んだ者を婚約者にしよう」


「父様!ありがとうございます!」


──これで、婚約は回避できた。






※ご指摘があり、文章少し変更致しました。


またおかしな点がありました、ご指摘いただけたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まだ読み始めた所ですが読みやすい文章と面白い設定がいいですね。 [気になる点] 〉矢継ぎ早に決めるものではないと、思っております 「矢継ぎ早」って素早く連続して次々行う事なので、ちょっと文…
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