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暗躍部隊

学園に通い始めて、数日。

今のところ、普通に学園生活が送れている。

あれからアレンは、王族に仕える暗躍部隊の奴を護衛に付けると言い出した。

暗躍部隊は主に王族達の影として、ある時は他国にスパイとして使われている部隊だ。

暗躍部隊の存在を知っている者も、ごく一部の者だけ。

そんな部隊の奴を使うと言い出したのだ!


「……アレン様、私はたかが一介の令嬢に過ぎません。そのような者に暗躍部隊の方を付けさせるなど、聞いた事ありません。100歩譲って、どうしてもと言うならば近衛兵を付けるのが、自然だと思いますが?」


「なぜだ?ミレーナは婚約者候補であろう?王族に関わりのある人物だが?」


こいつと話してるとイライラする!

そもそも暗躍部隊を出さずとも、近衛兵で十分。


「いえ、ですから、所詮候補に過ぎません。殿下は他にも候補の方がいらっしゃるでしょう?私ばかりに構っていては他の方に示しがつきませんよ」


「候補はミレーナだけだ。それに、父上も承知している」


ああ。国王を出したか。

もうこれは、決定事項なんだな。拒否権すらない。

仕方ない。


「……わかりました。しかし、私が本当に危険な場面になるまで助けに出ないことが条件です」


「しかし!それでは!」


「大丈夫です。ギリギリまで自分の力で何とかしたいのです」


昔のようにはなりたくない。

自分の身をかえりみず、私を護ろうとする者。

逆に私が命懸けで護ることもあったが。

捨て身で敵陣に乗り込んだバカもいたな。

私の為に、他の奴が傷つくなんてもうごめんだよ。


「わかったよ。ミレーナは頑固だからな、これ以上言っても無駄だろう」


「ええ。よくお分かりで」


「まったく……。では、お前に付ける者を呼ぼう。……エリオ!!」


「お呼びですか、殿下」


気づくと目の前に、黒ずくめの男がいた。

さすが暗躍部隊。気配がまったくなかった。

どこから来たのかも、わからない。


「エリオ今日から、このミレーナの影として護ってやってくれ」


「ミレーナ・セルヴィロと申します。すみません、王族でもない一介の令嬢ごときの護衛をさせてしまいまして」


「いえ殿下のご命令ならば、なんでも致しましょう。私のことはエリオとお呼びください」


「私の事はミレーナと呼んでください。これからよろしくお願いします」


エリオが顔を覆っていた布を取れば、そこには若い男の姿。

顔に傷があるが、なかなかの男前だ。

歳は20過ぎぐらいか。


「エリオさん、アレン様にもお伝えしましたが、ギリギリまで自分一人で対処したいと思っていますので、エリオが本気でまずいと思った時以外、見守りに呈してください」


「……殿下はそれでよろしいのか?」


「ああ。ミレーナは一度言ったらきかん。それで頼む」


「わかりました」


話はついたか。

これで、ようやく犯人探しを遂行出来る。

しかし、全く手掛かりがないのが困った。

こういう時は、囮になるのが一番早いんだが……。

チラッとアレンを見ると、何を企んでるのか分かるらしく、凄い目で睨んでいる。

囮は無理そうだな。


「ミレーナ、こういう時にエリオを使え。情報収集はお手の物だ」


「護衛の為に付けたのでは?」


「それもあるが、わざわざ暗躍部隊にしたのは、情報を集める為だ」


なるほど、暗躍部隊はスパイも担っている。情報収集はお手の物って訳か。

珍しく気がきくじゃないか。

素直に嬉しいねぇ。


「お前、もしかして何も考え無しに、暗躍部隊使ってると思ったのか?」


「はい。アレン様ですから」


「お前、たまに凄く失礼だよな」


「お褒めいただきありがとうございます」


「褒めていない」


アレンがムスッとしているが、ほっておくに限る。

これで、少しは情報が掴めるといいがな。

とりあえず、エリオに情報収集してもらってからだな。

このまま動いても、無駄な体力を費やすだけだ。


──さぁ、やってやるか。







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