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侵入者

毒に倒れてから3日。

次の日には目は開けられた。

最初にサラを呼んだら、泣いて喜ばれた。

しかし、身体はまだ重く、動きづらかった。

毒とは厄介な物だ。やはり少し、慣らしとくか?

……やめとこう。兄様とサラが怖い。

そんな不便な生活も3日もすれば、普段通りだ。


「そろそろ部屋から出てもいいかしら?」


「絶対ダメです!」


「外の空気が吸いたいの」


「窓からで我慢してください」


この調子で部屋から一歩も出れない。

部屋どころか、ベッドからも出してもらえてないが?

一度脱走を試みたが、サラに本気で泣かれてしまった。

それ以降、ベッドから下りることすら許されない。


──下手なことするんじゃなかった。


コンコン


「ミレーナ様、今大丈夫ですか?」


「はい、お入りください」


入ってきたのはソニア。

倒れてから、ちょくちょく部屋にやって来ては体調を気にしてくれる。


「体調はどうですか?」


「ええ、だいぶ身体も動くようになりました」


「それなら良かったです。良くなったら、一緒に街にお買い物でも行きましょうね」


「はい、楽しみにしております」


やはり原作通り優しい人だ。

あの勘は、やはり間違いだったらしいな。



皆が寝静まった深夜。


──誰だろうね?


使用人ではない者の気配で目が覚めた。

昔から人の気配には敏感で、すぐに目が覚める。

それは、この身体になっても変わらない。

この身体になって、気を張ることも無かろうと思っていたが。

昔の体質は元に戻そうとしても、中々戻らないもんだね。

今回はその体質が役立ったけどな。


──賊は一人か。


ゆっくりと、こちらに向かってくる。

しかし、このセルヴィロ家の警備をくぐり抜けて来るとは中々だね。

それなりの訓練を受けてきたとみえる。

だけど、相手が悪かったね。こっちはただの令嬢じゃないんだよ。


──さぁ、お客人をもてなすとするか……。


バサッ!!


ギリギリまで近づかせといて、シーツで視界を奪う。


「なに!?」


賊はビックリするが、もう遅い。


ドカッ!


「こんな深夜に女の部屋に侵入するとは、夜這いかい?」


馬乗りになり、首には小刀を突き立てる。

賊の男は、まさか令嬢に馬乗りにされるとは思いもしなかったろう。

こちらを見てビックリしている。


「なんなんだよ!?お前令嬢じゃないのか!?」


「一応侯爵家の令嬢だが?……今はな」


「こんな令嬢見たことねぇよ!!」


同感だ。私自身も見たことがない。


「戯言はいいんだよ。誰に頼まれた?」


「言うと思うか?」


「……思わないね」


この手の奴は中々に口を割らない。

そういう時に、口を割らせるためにする事と言えば……。

こっちではあまりやりたくなかったことだが、仕方がない。

片方の腕を逆の方向へ思い切り曲げる。

鈍い音と同時に男の断末魔の様な叫び声。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「……悪いね、私はそんな優しくないんだよ。しかも、気が短くてね。さぁ、もう一度聞く。誰に言われた?……次は喉仏にいくよ」


「言う言うよ!だから命だけは……」


男が涙目になりながら訴える。


「俺は……!!」


パンッ!!!


男が言おうとした瞬間、銃声と共に男の頭を銃弾が撃ち抜いた。


「なに!?」


誰だ!?他に仲間がいたのか!?

銃弾の飛んできた方を見たが、誰もいない。

……逃げたか。

辺りには火薬の臭いだけが残った。

しかし、こいつは仲間じゃないのかい!?

仲間を簡単に殺せるのか!?

信じられん。仲間は身内同然だ。助けることはあっても殺す事など絶対しない!

仲間を大事にしない組織など、ろくな組織じゃないね。


「あんたも、こんな死に方したくなったろうに……」


ドタドタドタ……


「レーナ!!叫び声と銃声が聞こえたけど!!……これは!?」


「きゃあああ!!」


兄様達が部屋へやって来た。

そして、惨状を見て侍女達は悲鳴をあげた。

それもそのはず、床には腕が変な方向に曲がり、頭を撃ち抜かれた死体。そこから溢れ出る血で血溜まりが出来ている。

あげく、私は血だらけ。


「何があった!?怪我は!?」


「ありません。この男が寝込みを襲おうとしてきましたが、返り討ちにしたところで主犯を聞こうと、尋問中に他の奴に殺られました」


「傭兵は何をしている!?ああ。レーナ、怖かったね。すぐ駆けつけれなくてごめんよ」


兄様が抱きしめて頭を撫でる。


「兄様、汚れてしまいます。この程度、問題ありません」


──腕を折ったのは私だが、言わないでおこう。



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