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とあるGMの悩み
「このゲームのプレイヤーってどうして戦闘系の人が多いのかね。不思議でしょう。ネアリ。」
こっそりGMがそうささやく。
「そうですね。あまりにも複雑すぎるからじゃないでしょうか。
まあ、GMならそんなこと知ってると思いますが……。GM?」
GMと呼ばれた男の顔は真っ青に血の気が引いている。
「そんなまさか。生産は気軽に手早くがモットーだったじゃないか。」
「はい。いわれた通りに気軽に辞めれて、手早く力尽きるようになってますよ。
具体的に言えば、鍛冶中に大きな失敗をすると手が欠損して、
手順を飛ばそうものなら、神の怒りにふれて死に戻りします。
もちろん、デスペナルティもついてきますよ。」
「どうりで生産職が増えないわけだよ。もはや、一人もいないんじゃない?」
「そうですね。今のところひとりも……おや、新しい職人さんができたみたいですよ。」
「おお。長くはもたないだろうけど少しは期待してみようか。」
権限を持たない名ばかりのGMはじっくりと彼の名前をメモした。