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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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わたしの足の感覚がなくなり始めた頃、女神がやって来た。


シイナさんだ。


普段は宿舎に来ることはないのだが、わたしが昨日速攻で寝てしまったために会いに来てくてたのだ。


ただ、怒られて座しているのが自分の父親の命の恩人だとは思わなかったようで、目があった瞬間目玉が落っこちてしまうんじゃないかと心配になるくらい目を目開いていたけど。


わたしは素早くヒールをかけて立ち上がると、シイナさんにおはようございますと声をかけながらお説教から逃げ出すことに成功した。


シイナさん手をとり握手してしまったのは仕方ないよね。

その勢いでやろうとしたハグはもうしないから襟を掴んで止めるのはやめてくれないかな。


ぐ、ぐるじぃ…


突然の出来事に驚いて固まっていたシイナさんだが、クスクスっと笑うと逆にハグしてくれた。


なにこの人。

めっちゃ可愛いんですけど。


わたしがキュンキュンしていると、横からから衝撃が。


首を動かし確認すれば、わたしに抱きつき満面の笑顔を向ける女の子がいた。


え、わたし死ぬのかな。


あまりの幸せに、そんなことを考えてしまった。


しかし、幸せとは長くは続かないもの。


「いつまでもそのような格好でおられるのですか?」


いや、いきなり押し掛けて寝起きのまま連れ出して説教を始めたのはあんたやないか。

なんて口が裂けてもそんな事は言えないので、大人しく一度身支度を整えるため、部屋に戻った。


芸術的な寝癖の女の子も一緒に。


色々整えて部屋を出ればミーナさんがいた。


「朝食と会議とご挨拶をするために皆さんはすでに別の場所に移動しておりますので、案内します。」


これはわたしが風呂に入って寝てしまった後で決まったそうでして。


案内された部屋に入れば、すでに全員揃っていた。


えーと、昨日はすみませんでした。


わたしの謝罪から始まった朝の会はまずは朝食を取ってから、次に改めてご挨拶という流れになった。


昨日挨拶しなかったっけと思っていたら、


「あれは挨拶とは言いませんよ」


と小姑のシルバくんからお小言が。


エスパーかよ。


ということで、改めて挨拶する。


シイナさんはわたしよりも若いのに服屋の他にも会員制のバーも経営してる女将さん兼ママさんだった。


わたしたちの自己紹介はちょっと言えないこともあったりして、ずいぶんと短いものだった。


挨拶が終わるとシイナさんは、お店に行かないといけないという事で部屋を出ていった。


さて今後についてだが、作戦通りまずはカルトに教会本部の様子を確認してもらう。


その間にわたしはエリーザさんからメイドに必要なことを教わる。


ミーナさんとガルくんは女の子のお世話をお願いして、他のみんなはシイナさんの指示のもとお店の手伝いとなる。


ブラックシャドウは今後の連絡係ということで、カルトとエリーザさんが指定した連絡場所近くに待機してもらうことになった。


いよいよ、聖女救出作戦が始まる。


それぞれが自分の仕事にとりかかる。


わたしはメイドに必要な知識をエリーザさんから教えてもらう。


指導を受けた結果。


「ユウリ様、本気でメイドになる気はございませんか。」


とスカウトを受けた。


ありがたい申し出だがやることがあるので、丁重にお断りさせていただいた。


エリーザさんは明らかにガッカリしていた。


いや、別にエリーザさんの目が途中から小姑の時のシルバくんみたいで怖かったからとかじゃなくてですね、本当にやらなきゃいけないことがあるだけですから。


いやぁ、実に残念だ!


こうしてエリーザさんからの厳しい特訓に耐え、明日に備えてお風呂に入ろうとしたとき、カルト服が戻ってきた。


「至急で伝えたいことが。」


急いでみんなを朝の部屋に集めると報告を受けることにする。


ちょっと待って。

みんな今日何やってたのさ。


ちょっとお疲れのミーナさんとデレデレのガルくんと不機嫌全開の女の子。


それぞれいつもと服装と髪型が変わっている若干目が死にかけてるがキラキラのイケメン3人。


いや、深くは聞くまいて。


それぞれ頑張ったと言うことは何となく分かった。


さて、報告を聞こうじゃないか。


みんなは完璧な給仕でお茶を配る姿にわたしだと気付くことはなかった。


「ユウリ様はまだ来られていないのですか?まったく…」


いや、目の前に居るからね。


居ないからとあれこれ言われてもメイドに徹するわたしに、エリーザさんの目が怖かったのとだんだん悪口大会になり始めたのでメイドモードを解除する。


「っ!いらっしゃっていたなら声を掛けてくださればよかったのに。完璧な立ち振舞いに感嘆いたしました。」

「におい、なかった。すごい。」

「目の前にいたのに、全然分かりませんでした。」

「姉御、すごいっすね!」


今さらヨイショしても遅いわ。

ふてくされるわたしにみんなは作戦を変更して、


「「「「申し訳ございませんでした。」」」」


素直に謝罪した。


ふん。謝るくらいなら、はじめからやるんじゃないよ!

バカチンどもっ!



ドッカーンッ!!!



うぉ!雷が近くに落ちた。怖いわぁ。


雷の音で冷静さを取り戻したわたしはなにやら涙や色んな水でぐちゃぐちゃになったカルトにびっくりする。


なにがどうして、そうなったよ。

とりあえずタオルを渡すと報告を促す。


タオルを二度と使えないものにしたカルトの報告により作戦は変更することになる。





急遽行われた作戦会議が終了したのは、真夜中。

わたしは疲れきった体を引きずりながら風呂に入って、ため息をつく。


明日、滅多に外に出ない教皇が聖女を伴い外遊に出るとか。


これは本当にまたとないチャンスだ。


せっかくのチャンスを無駄には出来ない。

もちろん罠の可能性もあるがそれがどうした。


教皇は選択を間違えた。

悪さをしたことを後悔させてやろう。


クックック

フハハハッ

アーハッハッハ!


・・・のぼせそうだから出るか。


わたしは風呂から上がると明日のために気合いを入れて寝た。


夜中まで会議とか二度としないと心に誓って。




この日、教国の首都に落ちた巨大な雷は後に神の怒りとして語り継がれることになったとかならなかったとか。


そんなもん、語り継ぐな!バカチン!




次回100話です。



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