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ケビンです。
お久しぶりです。創造神様。
"な、なんで敬語なんですか。"
いやぁ、わたしとお会いしたくないところ、無理を言ってしまったようで申し訳ないなと思いましてね。
"や、やだなぁ、会いたくないなんてそんな事あるわけないじゃないですか、アハハ。"
ですよね。アハハ。
"本当に申し訳ありませんでしたっ!"
いやいや、何を謝られているのか、別に会いたくないとかそんな些細なことは気にしてなんかいませんよ。
"流石、ユウリさん!懐が深い。よっ、聖母様!"
少し黙ろうか。
"・・・"
わたし、一度も聖母様とやらになるなんて言ってないよね。
"いや、でも色々やってますし、今さら聖母じゃないとか、"
うるさい。言うな。まだ、なるなんて言ってませんー。
わたしが好き勝手に行動してるだけですー。
別に聖母だからだとかそんな事は全く関係ないですー。
"うわぁ、屁理屈。"
屁理屈で結構。絶対にそんなものにならない。
"えー、なっちゃった方が色々楽になるのにですか。"
たとえ、そうだとしてもだよ。
っていうか、よく考えても見なさいよ。
訳のわからん女がわたしは聖母だー!とか誰が信じんねん。
"そんなことないと思いますけどね。"
そんなことあるんですよ。
"・・・あっ!、いいこと思いつきました。"
やめろ、思いつくな。
"僕がみんなに言えばいいんですよ。"
おい、シカトか。
しかも、なんちゅう恐ろしいことを思いついてんねん。
"ユウリさんを呼んだものとして、出来る限りフォローするのは当たり前じゃないですか。任せてください!"
ん?ちょっとまって。
わたしを召喚したのは帝国のお姫様じゃないの?
"あれ?この前説明しませんでしたっけ?"
されてないですね。創造神様が失礼なこと言っていなくなっちゃったもんで。
"そ、そうでしたっけ。アハハハハ"
アハハハハ。
で、どういうことか説明してもらいたいところだけど、ちょっと疲れてきた。
そんなに長く話せないぞ、ケビン。
"ついつい、話し込んでしまったので確かにヤバいですね。"
言いたいことが山ほどありすぎるんだけど、ここからは要点だけ。
今回聖女様の救出を考えてることは知ってる?
"はい。神と言ってもお恥ずかしながら万能ではないのです。まさかユウリさんにしわ寄せがいってしまうとは…。"
ま、神様なんてそんなもんでしょ。
でも、今回はアウト。
仮にもあんたのお膝元をうたってる場所で知りませんでしたはないんじゃない?
"こちらにも事情があるってって言うのは言い訳ですね…本当に面目ないです。"
言い訳しないんだ。偉い、偉い。
"出来ないように持ってきといてそれはないですよ。"
バレてた?
"流石に、そこまでわからないほどアホではないつもりなんですけどね。"
なら、わたしが考えてることもおおよそ検討がついてるんでしょ。
"まぁ、なんとなくですけどね。"
なら話は早い。ぶっちゃけどれだけ持つもの?
"万全の状態なら3分ですかね。"
ウルトラ◯ンかな。
ま、多分万全の状態は無理だろうから、半分の1分半分ってところかな。
"足りない分は、僕の方で何とかします。"
出来れば何とかならないようにしたいところだけど、いざってときはお願いします。
"ユウリさんにお願いされたら、頑張るしかないですね。"
うん、くれぐれも頑張り過ぎたりしないでね。
イヤな予感しかしないから。
"いやいや、どーんと任せてください!さて、色々いそがしくなるぞー!"
ねぇ、聞いてる?聞いてないよね?
しーん。
あんのバカ、最後まで話聞かずにいなくなりやがった。
今回も爆発発言があったけど、もう知らん。
わたしは祈りを終了させる。
振り向くと、エリーザさんとカルトは後ろの方で待っていてくれていたようだ。
あれ、何で拝んでるのかな?
ああそんな遠くから祈らなくても、わたしは終わったから前にどうぞ。
動く気配のない2人にイヤな予感しかしない。
そして、衝撃の事実が判明する。
わたし、神様と話してるときちょっとだけキラキラ光ってるそうです。
だぁー!そんないかにもな演出いらん!
誤魔化す方法が浮かばなかったわたしは、微笑みながらここで見たことは口外してはいけませんよ。
と、意味ありげに言うのが精一杯だったが、明らかにそれが一番やっちゃいけない選択肢であったと言ってから気付く。
はぁ、平穏てなんだろう…