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目が覚めると目の違和感と疲労感がハンパなかった。
これ、絶対にべんぞ◯さんみたいの目になってるわ。
そんな時は『ヒール』をかけてみると。あら不思議。
パンパンだったおめめがスッキリ、パッチリ。
本当に『ヒール』は万能です。
泣きわめいて寝たらスッキリしたので、昨日のことは水に流してやろう。
わたしが小屋から出ると、全員大集合していた。
仲良しか!
マイパーティーメンバーはいつも通りだが、わたしの奇行に慣れていない、ブラックシャドウ、猫耳美人さん、Xさんはなにやらソワソワしていた。
うん、とりあえず慣れだから。
ドン引きするのはしないでね。傷ついちゃうから。
まずはご飯を食べましょうね。
話はそれからです。
あー、美味しかった。
美味しいご飯を食べたし、そろそろやりますか。
どうやら、猫耳美人さんとXさんは知り合いのようだし、まずはそこからですかね。
「ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません。私はエリーザと申します。」
「わ、私はミーナです。」
Xさんもといエリーザさんは教会の人間を装いながら、聖女様直属で隠密活動をしている普段はメイドさんで、猫耳美人さんもといミーナさんの元上司だったそうだ。
ちなみにエリーザさんは現在顔を覆っていた布はつけていないのだが、わたしの予想通り美人さんだったことを報告しておく。
声が聞こえる方の聖女様からわたしを援助するように申しつかったそうで、教国に入ってからずっと陰ながら様子を見てたそうだ。
いや、味方なのは分かってたけど、まさかの聖女様の使いとは。
ってことは、帝国の教会で会ったべっぴんさんがやっぱり聖女様だったということですね。
そんでもってハッキリ聖母という単語は出なかったけど、もしかしなくても、わたしの誤魔化しがバレているってこと?
その考えに思い至ったわたしは一人で顔から火が出るんじゃないかと思うくらい恥ずかしくなって、そして凹んだ。
わたしってそんなに分かりやすいのかしら。
ちなみに聖女様の居場所はエリーザさんが知っていた。
声の聞こえる聖女様は帝国から戻ってからずっと教会本部で軟禁状態。
しかし見える方の聖女様は、数ヵ月前から教会本部からも姿が見えず、現在捜索中とのこと。
わたしは、エリーザさんに聞いてみる。
教会の地下に拷問部屋とか牢屋があったりしない?
「え?地下、ですか?」
どうやら心当たりは無かったようだが、1人だけわずかに反応したものがいた。
隅っこで転がされている黒服だ。
黒服の側で待機していたアセナさんにこちらに連れてきてもらう。
アセナさんは村に戻って来てからずっと、黒服のことを至近距離でガン見しながら見張ってくれていた。
アセナさんに咥えられて黒服はわたしの前に来ると、震えだした。
おや、なんでそんな反応?
とりあえずこれから口の中の布を取り外してあげよう。
ただ知ってると思うけど、どんなに舌をカミカミしたところですぐに治療することを念のためお知らせしておく。
素直に話してくれればいいんですよ。いいですね?
布を取り外すのはブラックシャドウがやってくれた。
「化け物め!」
ん?
アセナさんは黒服の後ろにいるし、わたしと完全に目があってるってことは、化け物ってわたしのことかな?
こりゃまた解せませんな。
「貴様!」
「口のききかだがなってませんね。」
「とりあえずシメときますか?」
あー、みなさんそんなにプンプンしないで。
化け物呼ばわりくらい、いいのですよ。
わたしは黒服に近づくと、ニッコリ笑うと頭を鷲掴みし、問答無用で『ヒール』をかけた。
すると、どうしたことでしょう。
黒服から黒いもやの塊が出たではありませんか。
実は最初に鑑定したときは人族としか表示されなかったんですけど、舌をカミカミして治したあとお亡くなりになってないか確認するためにもう一度鑑定したんです。
次に表示されたのは人族(憑)でしてね、どうやら最初に鑑定した時は偽物のステータスだったみたい。
しかし、治療でかけた『ヒール』がその偽造を偶然にも暴いたとう訳ですな。
MPごっそり持っていかれたからおかしいなとは思ったんですよね。
黒いもやはだんだんと人の形になると、わたしに向かってきた。
「「「「ユウリ様!」」」」
庇おうと動くみんなにストップをかけて、拳を握ると黒いもやを力一杯ぶん殴ってやった。
もやが霧散していくなか、勢い余って頭から地面に突っ込んだわたしはうつ伏せの体勢のまま土魔法で穴を掘って穴に立てこもった。
土魔法が使えて良かったと、心のそこから思いました。
あれ、作文?
評価、ブックマークありがとうございます。
感激のあまり、何度も確認してしまいました(笑)
これからも頑張ります!