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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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猫耳美人さんに『ヒール』をかけると、なにやら黒いもやが口から吐き出され、MPをごっそりもっていかれた感じがした。


睡眠と食事をしっかりとったあとだから大丈夫だったが、こりゃかなり強力な呪いだったと考えるべきなのか、そもそも呪いを解くのにはMPが大量に必要なのかもしれない。


猫耳美人さんの様子を確認すると、『ヒール』をかけたはずが気を失っていたので、慌てて呼吸を確認したところ寝ているだけのようだった。


これでは話は聞けないという事で、一度小屋を出てブラックシャドウにいくつか依頼をすることにした。


まず、聖女の現状について。

2人いるということだけしか分かっていないので、今現在何処にいるとか調べもらうことにする。


次に現教皇について。

これはほぼ帝国と繋がりがあると思われる案件なので、無理しない程度に情報を集めてもらう。


ま、わたしのなかで教皇は真っ黒でアウトだと思ってますけどね。念のため。


最後に、今まで通った村にあの呪いの紙があるかどうか調べてもらう。

現状わたしが直接『ヒール』をかけなければ廃棄はできないようだが、そもそも紙自体が残っているのかどうかを確認してもらう。


「それについてはすでに確認しておりますので、そろそろ結果が届くかと。」


やるな、ブラックシャドウ。


とりあえず、依頼料として少なくて申し訳ないが金貨を3枚ほど渡そうとしたら、

前回頂いた分で十分だと言われてしまった。


そんなん、絶対嘘やん。


また依頼したいことがあるからと言って、前受け金として無理やり受け取ってもらった。


別にわたしのお金が受けとれへんのかいな、と脅したりはしてない。


ガタッ


話が一段落した頃、小屋から物音がした。

どうやら猫耳美人さんが目を覚ましたようだ。

今度こそお話を聞かせてもらう。


小屋に入ると、最初に入ったときのように威嚇されることはなく、縛り上げられているのにもかかわらず器用に正座して頭を下げていた。


わたしは美人さんに近づくと、今度は肩に手をかけて大丈夫かと声をかける。


わたしの問いかけに美人さんはバッと顔をあげ、涙を流しながらかすれた声でお礼を口にしてくれたのだった。


「あり、がとう、ごさいま、す。」


うん、ちゃんと『ヒール』が効いたみたいで何よりだ。

それにしても、やっぱり美人さんやわぁ。目の保養です。


まだ本調子ではないだろうと、もう少し休んでから話を聞こうと思ったのだが、


「なん、でも、聞いて、下さい。」


という本人の意思により、聞き取りをすることにした。


長い間話せなかったため、話をするのはかなり大変だっただろうに、わたしたちの質問に丁寧に答えてくれた。


美人さんの話を簡単に。


聖女の2人は仕組まれて孤児として教会で暮らすこととなり、奴隷として働いていた猫耳美人さんは、ひょんなことからその事実を知ってしまったそうだ。


聖女たちは奴隷にも分け隔てなく接してくれていたため、一部の奴隷が結託して2人を逃がそうとしたが失敗。


聖女たちは軟禁状態となり、逃がそうとした奴隷たちは呪いを受けた。


呪いを受けたものは思考や感情を縛られ、教会の捨て駒として無謀な裏の任務をさせれるこことなった。


そのあたり話は割愛させてもうが、かなり胸くそ悪い内容だった。


「お役に、立て、ましたか?」


もちろんだよ。

わたしは辛い話をさせてしまった美人さんに再度『ヒール』をかける。


少しでも、彼女の心が救われるようにと祈りを込めて。


直後、話し疲れたのか眠ってしまった猫耳美人さんを見て、わたしにどこまで何ができるかわからんが、教会を帝国の企みを全力でぶっ潰すと決意する。


帝国のみなさんには、わたしを敵に回したことを後悔していただきましょう。オーホホホホホッ!


あれ?なんか今回わたしの方が悪役っぽくない?


・・・ま、いっか!



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