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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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色々ショックを受けて呆然としていると、


「ユウリ様、燃え残った紙に『ヒール』をかみけてみていただけますか?」


とシルバくんに言われた。


唐突やな、やれって言うならやりますけど、生物以外に『ヒール』をかけて効くもんかね。


疑いつつも呪われし紙に『ヒール』をかける。


すると紙は一瞬白い光を放つとチリとなって消えた。


おい、跡形もなくなっちゃっいましたけど、大丈夫かいな。

わたしの疑問はみんなのあからさまに安堵した表情によって瞬時に解決した。


大丈夫そうやな。

そんでもってそんなにヤバイやつやったんやな。

わたしは自分の手に再度『クリーン』と『ヒール』を交互に何度かかけておく。


それにしても、『ヒール』って生き物以外にも効くんだなぁと思ったが、そう言えばシルバくんが白魔法は極めたら呪いを打ち消せるって言ってたっけ。


わたしったら白魔法のレベルマックスだから極めてるってことなんですね。


あはは。


聞いてたつもりだったけど色々半信半疑だったもんで、ごめんなさい。

今、ちゃんと理解しましたと心の中で謝っておく。


今更だけど、外でする話ではないということで今夜の寝床の掘っ立て小屋に戻ると、ブラックシャドウの人が知らない人を縛り上げていた。


え、どういう状況?


立て続けに色んなことが起こりすぎて思考回路はショート寸前なんですけど。


何だか物凄く疲れていたので大変申し訳ないとは思ったが、ブラックシャドウはみんなにお任せして休ませてもらう。


明日分かりやすく説明してくれるようにお願いして、わたしは眠りについた。






気づくと、わたしは知らない場所に居た。

どうやら、また夢を見ているようだ。


そこは薄暗く、地下牢のような場所だった。


鉄格子のはめられた部屋がいくつかあり、いちばん奥に木製の頑丈な扉があった。


何故かその扉の向こうに行かなくてはいけないという使命感から扉に手をかけると、するりと扉をすり抜けてしまった。


そこは真っ暗な部屋で、隅に人の気配があった。


真っ暗なはずなのに、ゆっくりと近づいてみればそこにいたのは手足を鎖に繋がれ、目に包帯が巻かれた少女だとわかった。


目の傷は包帯越しでもかなり深そうであるとわかり、かなり衰弱している。


わたしは咄嗟に『ヒール』をかける。




そして、目が覚めた。




何でこのタイミングで覚めちゃうんだよ!

少女のことが心配でもう一度寝ようとするが、全く眠れない。


眠れないなら、強制的に眠ればいいだけや。


わたしは魔力をありったけこめて『エリアヒール』を発動して気絶した。


しかし夢を見ることは出来ず、目覚めて早々シルバくんのお叱りを受けることとなった。


「ユウリ様、大変心配いたしました。なにせ丸1日目を覚まされないのですから。何故こんなことになっているのか、私たちに分かるようにご説明いただけますでしょうか。」


え、あ、はい。って、まじか!

丸1日経ってるとは知らなかった…。

ここは素直に、ご心配をお掛けして申し訳ございませんでした!と土下座して謝罪した。


ぐるるるー


「・・・とりあえず、お腹に優しいものを準備致します。」


土下座と同時に鳴ったわたしのお腹の音で、お叱りタイムは回避となり、ご飯を食べながら順を追って話をしてもらうことに。


お腹の虫、グッジョブ!


ご飯の席にはブラックシャドウがいて、寝る前に説明してくれるようにお願いしていたことを思いだし、こちらも土下座して謝罪させてもらった。


自分でお願いしておいて、本当に申し訳ございませんでした!


「ユ、ユウリ様!そのようなこと、お、お顔をおあげください!」


ブラックシャドウはアワアワしていた。


新鮮な反応にちょっと癒される。

最近本当扱いがぞんざいなときが多い気がするからなぁと考えてたら、悪寒が。


ギギギ…


視線を動かせば、みんなが半目でわたしのことを見ていた。


アハハ!そんなに見つめられたら穴が開いちゃう!


笑ってごまかしながら、エスパーかよ!とツッコミを心の中でいれ、気づかれないようにそっと溜め息をはいた。


ハァ…。なんでこうなったんだろう…。




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