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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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ついに決戦の地、フウジの山の裾野に到着した。


ここに辿り着くまで大変だった。


人数が増えたことで移動のスピードは落ち、何かあればすぐに喧嘩するのでその度に仲裁するを繰り返した結果、結局この2日間かなりの強行軍になってしまった。


少年大将一派は比較的若い子が多く、修学旅行の引率ってこんな感じなんだろうなとしみじみしてしまった。

収集がつかなくて本当に大変だった…


そんなわけで、可能な限り急いできたのだがわたしたちが一番最後に到着。

すでにたくさんの人が一触即発状態で我々の到着を待っていた。


かなり気まずい雰囲気のなか、大将がいると思われる集団の中心へと向かう。


わたしたちは明らかに浮いていた。


ねぇ、大将を倒せばいいんだよね。

なんか、全員で戦うぜ感が半端ないのは気のせいだよね。

お願いだから、気のせいだと言ってくれ。


そしてたどり着いた中心地にいたのは、笑顔だが目が笑ってないヘビのような男と限りなくゴリラに近いおじさんだった。


ゴリおじは見た目からして強いそうなので何となく大将なのは分かる。

しかし、問題はヘビ男だ。

どう見ても、腕力でこの場に辿り着いたようには見えない。


そんな風に観察していると、ヘビ男がいきなりわたしたちに向かって何かしらの魔法を発動した。


いったいなんの魔法を発動したのわからないが、ゾワゾワした感覚が体をかけめぐる。



そして一瞬の静寂の後、裾野にいた1/3ほどが獣のような咆哮をあげ暴れ始めた。


その光景に私たち一行は、何が起こったのか分からず唖然としていると、あっという間に恐れていた乱闘が始まってしまった。


しかし、わたしたちよりヘビ男の方が何やら衝撃的なことがあったようで、口をパクパクさせうわ言のように「なぜ」を繰り返していた。


なぜって聞かれてもねぇ。

こっちが聞きたいんだけど。


とりあえずこの状況ってヘビ男の魔法が原因だよね。

みんなにかけた魔法解いてもらいましょか。


「よ、寄るなっ!」


ジリジリと追い詰められたヘビ男が、わたしに向かって手を伸ばしてきた。


突然の行動に自粛を誓ったばかりの風魔法を発動してしまったことでヘビ男は魔法をモロにくらい空高く舞い上がりそして地面に落下した。


あかん。ぼろ雑巾みたいになってもうた。

直ぐに『ヒール』をしたのだが、どうやら一瞬でも三途の川を渡ってしまったのか目を覚まさない。


慌てて呼吸を確認すれば、息はあったのでお亡くなりになってはいないようです。セーフ。


しかしヘビ男を倒したはずなのに、乱闘は収まる気配はなくむしろ激しさを増している。


自分の身を守ることで精一杯だ。


何とか状況を打破する方法はないかと悩んでいると、今度はゴリおじが戦車のごとく突っ込んできた。


そして、ゴリおじは止めようとした少年を勢いそのままにはね飛ばした。


襲い来るゴリおじを風魔法で弾き飛ばし、直ぐに少年の元にかけより『ヒール』をかける。

少年は大事には至らなかったようで直ぐに目を覚ました。


この、バカちん!魔法は万能じゃないんだ!

死んだら助けてあげられないんだから!


「体が勝手に動いて…、すいません。」


・・・


自分の足で立てない少年を余裕がありそうなアセナに任せる。


穏便にことを運ぼう思うたが、こうなったら実力行使や。

あんたら、死にとうなかったらわての後ろに移動しぃ!


わたしの声にみんなが素早く移動したことを横目で確認すると、全魔力を注ぎ込んで水魔法を発動した。


大量に発生した水は濁流となり、人々を押し流した。


ちょっとやり過ぎたかもと思いながら、

薄れゆく意識のなか人々が流される様子は水洗トイレのようにって、あれヘビ男じゃね?

あちゃー、気絶したまま流されたのか。


こりゃ、水洗トイレじゃなくて三途の川か?と不謹慎なことを考えながらわたしは意識を失った。




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