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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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土下座では話ができないので、楽な姿勢で座ってもらい代表して話す者を決めてもらう。


「お、俺が話そ、します。です。」


出てきたのは顔に傷があるずいぶん厳ついおじさんだった。


やのつく職業の方みたいでめっちゃ怖いのだが、明らかにおじさんの方がビビってた。


拙い敬語でこちらの質問に答えてくれた結果判明したことは、昔はカーザ王国という国だったのだが、現在の状況になった原因はおおよそ100年前に起こったクーデターが始まりだそうで。


クーデターが成功したまでは良かったのだが、直後に戦いに参加したもの同士が次の国のテッペンは自分だと主張して国全土を巻き込む戦いに発展。


その後、一番強いものが王になれるという謎のルールが確立され、オレもオレもと名乗りを上げるものが次々と現れ、誰もそのテッペンに君臨することが出来ないまま時だけが流れた。


そして現在、3人の総大将とやらが凌ぎを削っているが、力が拮抗していて中々決着がつかないまま膠着状態が1年以上も続いているとのこと。


これは、100年の歴史の中で初めての状況らしい。


いやいや、テッペンて。

要はこの国は100年もずっとクロ◯ズ状態だってこと?!


「ク、ク◯ーズですか?」


そこは気にしなくていいから。

っていうか、むしろ良くそれで100年も国が続いてたな、オイっ!


ハッ!ダメダメ、落ち着け、わたし。

まだ確認しなきゃならないことがあるんだから。


おじさんよ。もう1つ番聞きたいことなんだけど、皆さんが奴隷な理由はどういうことか教えてくれるかな。


「それは他の有力者に寝返るものを出さないように、自分の力を維持するためで、治めている地域の人や軍門に下ったやつを問答無用で奴隷にしているから、です。」



・・・。



おいおい、それが仮にもテッペンを取ろうってって奴がすることかよ。


あまりの理不尽な理由に頭を抱えてしまった。


念のため、みんなはこのまま奴隷でいることを望んでいるのか聞いてみる。


「「「・・・」」」


わたしの問いに答えるものは誰一人いなかったが、顔を見れば誰も望んでいない事が手に取るように分かった。


こんな状況でテッペン取った奴の末路なんて安易に想像がつくわ。


運がいいのか悪いのか分からないが、3日後この膠着状態を打開するための決戦が行われるそうだ。


なんでそんなこと知ってるのさ。


「今は奴隷だか、少し前まではかなりの有力者だった、です。いいところまで登り詰めてた、です。」


いや、もう敬語いいよ。片言で話が入ってこない。


「ありがてぇ。じゃ、いつも通りで。ここにいる連中も元々俺の下で戦いに明け暮れていた仲間だ。」


しかし、奴隷としてここで生活していくなかで、戦いに参加していない人々の生活が日に日に悪くなっていく様子にどうにかできないかと思っていたそうだ。


だろうね。いつまでも争いばかりしていて安定しない国の一番の犠牲者は国民だ。


現に、ここにいる人たちの健康状態はあまり良いとはいえない。

町でこれなのだから、村ではもっと厳しい生活を強いられている可能性が高い。




・・・全然、関わるつもりなんてこれっぽっちも無かったんだけどなぁ…




こんなに色々聞いといて、

じゃ頑張って、さよなら。

なんて見て見ぬふりできるほど非情になれないわけで。


偽善だってことはわかってる。

でも、やるならとことん頭を突っ込むしかない。


咲来結織。

腹、くくらせていただきます。


力が全てってんなら、やってやろうじゃないか。

こうなったらバカども全員の頭をひっぱたいて、あたいが終止符を打ってやんよ!


おじさんたちも本当に戦いを終わらせたいと思っているなら力を貸して下さい。


さぁ、野郎ども、時間がないよ。


平和と安定をもぎ取るための作戦会議を始めようじゃないか!


「「「オーッ!!!」」」





あ、その前に、馬車とお馬さんは返してね。




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