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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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小山になったボロボロの悪党どもを慣れた手つきでみんなが縛り上げる。


そして、お決まりの『ヒール』による治療で 傷はキレイさっぱり治して話を聞くことにする。


わたしの無差別攻撃を受けた思われる何人かが三途の川を渡りかけていたようだが、息があるので、セーフ!


そういえば、狼もズタボロにするほどの威力だったと思いだし、今後は風魔法を人に使うのは奥の手にとっておこうとひっそりと誓う。


意識を回復した悪党どもは、縛られていることに激おこであまりにもうるさいのでアセナさんに目配せをする。


"ぐるるるー!"カプリっ


2度目の目配せはちょっと唸りをあげながらというオプションをつけてカプリしてくださいました。


アセナさん、グッジョブです。


プロですら恐怖するカプリに、悪党どもは一瞬で恐慌状態に陥り、泣きわめくもの、気を失うもの、祈りを捧げるものと収拾がつかない状況になってしまった。


ブラックシャドウとの落差にあきれていると、だんだんと不平不満を言うやからが出てきて、いつのまにやら元通りになってしまった。


悪態はどんどんエスカレートし、ある一人が越えてはいけない一線を越えた。





「年増のババァが若い男はべらせていい気になってんなよっ!」





このセリフを聞いた瞬間、わたしの中でいろんなものが限界値を越えてプッツンした。


誰が年増のババァだコラァ!!




そのあとの記憶がない。

どうやら寝てしまったようで、気がつけば夜が明けていた。


辺りがずいぶん静かだなと思ったら、敵味方関係なくボロボロになって地面に転がっていた。


えーと、どういうこと?


とりあえず『エリアヒール』でみんなの傷を治し、お腹が減ったので朝食を作りながらみんなの目が覚めるのを待つことにする。


しばらくすると、シルバくん、フェルくん、レオくんが目を覚ました。


しばらくボーッとしていたかと思ったら、わたしの顔を見た3人が物凄い勢いで近寄ってくる。


コワッ!


「「「申し訳ございませんでしたっ!!!」」」


また、何かお小言でも言われるのかと思って身構えていたら、なぜか土下座して謝られた。


ホワッツ?!


あまりの急な展開にパニックになり、みんながあれこれ言ってきたがそれどころではなく、一刻も早く顔をあげてくれと、わたしも土下座してお願いするという傍からみたら訳のわからない状況になってしまった。


ぎゅおるるるー


そんな状況に終止符をうったのは、盛大なわたしのお腹の音だった。


・・・


本当にわたしにはシリアスというものが存在しないのだなと再確認して、顔を伏せたままご飯の準備を再開する。


「あとは私たちで準備いたしますから、お休みになってください。」


"ぶぁはは!全くもって締まらないのう!"


潤む視界の端でアセナさんが笑い転げているという、いつか見た光景が見えた。


ギギギ。

ゆっくり、アセナの方に顔を向け目を合わせる。


"ヒィッ!"


アセナはお腹を見せて媚を売ってきたが、笑顔で覚えてろとだけ言って視線を外したわたしに慌てて小さくなってすり寄ってきたが、無視して3人と一緒に美味しい朝食をいただきました。


"わらわが悪かったのじゃ!許してくれー!"



さて、ご飯も食べたしそろそろ現実を見ますかね。


昨日の威勢はどこへいったのか、口を開くものもおらず、悪党どもがキレイに並んで土下座している。


全力で見なかったことにしたいが、そうもいかないのは重々承知している。


何せ、悪党どもも全員人族(奴隷)なのだから。

色々聞かなきゃならんでしょうよ。


わたしの中で平穏という言葉がどんどん遠ざかっていく気がした。


うん。もう少ししたら見えなくなるかもね!(涙)





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