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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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まぶた越しに眩しさを感じて目を開ける。


見覚えのない木目の天井が見えて、うちの天井って白じゃなかったっけと思った瞬間バッと身体を起こす。


心臓がバクバクして頭が真っ白になる。


少しすると、乱れていた呼吸が落ち着き、自分が異世界に召喚されたことを思い出す。


実は異世界召喚は全部夢の出来事で、寝て目が覚めればいつもの部屋にいると心のどかで期待していた。




いったい、いつぶりだろう。わたしは泣いた…




ひとしきり泣くだけ泣いたことで気持ちが少しスッキリすると、昨日の夜のことを思い出す。


魔法を使っていたら意識を失ったようだが、特に目に見える範囲でこれといった問題は見当たらないように思える。

むしろぐっすり寝れたようで身体の疲れは感じられなかった。


これは魔法を使うときは気を付けたほうがいいな…


窓から差し込む光の様子からして、どうやらすでに朝のようで時間を確認するため一階に降りてみようと立ち上がった瞬間ドアがノックされた。


「お客様、ご在室ですか?」


叫ばなかった自分を誉めてあげたい。


ノックしたのは宿の人で朝食の準備ができているので食堂にどうぞと案内してくれた。


実は昨日の夕飯の際にも声をかけてくれていたらしいが反応がなかったので少々心配をかけてしまったようだ。


「まれに、お部屋でお亡くなりになるかたもいますので。」


朝も反応がなければ部屋に押し入るつもりだったそうで、心配をかけてすみませんと謝っておく。


押し入られなくてよかったと安堵し、いや昨日の夕飯の時点で押し入るべきじゃないかとか、もしかしてこの部屋でも亡くなった人がいるのかと疑問がわいたが、確認するのは怖いので頭に浮かんだ疑問は心の中にしまっておく。


もう、今日には出るんだし気にするな私!


軽く身支度を整えるとさっそく食堂へ向かう。

朝食はパンと野菜と少量の肉が入った具沢山のスープとサラダだった。夕飯を食べていなかったこともあって、とっても美味しく頂きました。


ご飯が美味しいって重要ですよね。


食べ終えて時間を確認すると8時。

チェックアウトは9時なので、もう一度お風呂に入ってから宿を出ることにした。


お風呂はまたも貸切状態で、時間はあまりないが湯船に浸かりながら今日のこれからの予定を考える。


まずはもう一度服屋に行くこと。


なぜなら、結局貴族の服屋は高くて一着しか買えなかったので、着替えがない上に、地味なドレスを買ったがやはりこの街を歩くには少々浮いていて、早く周りに溶け込みたいからだ。


あとは色々思うところはあるが、せっかくアリサちゃんが案内してくれたし、とりあえず奴隷とやらを見に行くだけ行ってみることにする。

昨日突然気を失ったし、やっぱり一人で行動するには限界があると思ったから。


そして出来れば今日、明日にでも、早く街から移動したい。

あのお姫様がいるお城が近くにあるだけで落ち着かないったらありゃしない。


そうと決まれば行動あるのみ。

お風呂から上がり、宿の人にお礼を言って、わたしは町に繰り出した。


ちなみに、ちゃんとお店の人に服屋を聞いてから出ましたよ。


宿を出て教えてもらった服屋に向かって歩く。

朝から町は活気に溢れていた。

今日はキョロキョロしないように気をつけてなるべく堂々と歩くようにする。


歩きながら鑑定をしていると、昨日人は鑑定しないと決めていたが運悪く鑑定してしまった人に衝撃の表示が出た。


【人族(奴隷)】


その表示が出たのは宿を出て少し歩いたところにあった肉屋の店員さんだった。

あまりにもビックリし過ぎて肉屋の前で立ち止まってしまったため、通行人のおじさんに邪魔だと怒られてしまった。


「バカヤロウ!道の真ん中で急に止まるんじゃねえよ!」


す、すみません!

慌ててその場を離れ、服屋を目指す間に何人かの人を鑑定してみる。

肉屋の店員さん以外にも他のお店の店員さんやすれ違う人の中のに(奴隷)の人はいた。


思った以上にいた。


気づけば、わたしの足は服屋ではなく、昨日アリサちゃんに案内された奴隷が買えるお店に向かっていた。





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