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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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ブラックシャドウ諸君の出した答えは。


「仲間として、一緒に旅させてください。」


だった。


うん、嫌だ。

なんで、命狙ってたきた人と仲間になって一緒に旅なんかせなあかんねん。


という訳で、速攻でお断りさせていただく。


どうやらダメもとで言ってみたらしい。

テヘペロみたいな雰囲気にちょっとイラッとしたので、アセナさんにそっと目配せをする。


カプリ。


アセナさんはちゃんと分かってくれて、意見を言ったやつの頭を優しくカプリしてくれた。


「「「・・・」」」


これにより、ブラックシャドウ諸君は姿勢を正し、辺りにはピリッとした空気が漂う。


そしてもう一度問う。

選択肢は決まったのかと。


ブラックシャドウ諸君が恐怖に震えながら答えた内容は。


「とりあえず全額じゃなくてもお金を回収させていただいて、依頼を達成したと偽装するのはいかがでしょう。」


だった。


ぐっ、こいつら意外と頭が回るな。

提示した選択肢ではないが、実はわたしもこれが一番いい方法ではないかと思っている。


何故なら、自分最低だなと思いながらも、お金がなくなるとかなり困るので選択肢にいれていなかったが、アセナをモフモフしているときにふと恐ろしい考えが浮かんでしまったことにより最有力候補となった。


その考えとは、実はこのお金がおじいちゃんのポケットマネーではなく国のお金を勝手に持ち出したもので、それがお姫様にバレた結果が今回の暗殺だったら。というものだ。


だって考えてもみなさいな。

国のお金を勝手に使ったとしても、バレてなければそもそもこんな依頼なんて発生しないわけで、しかもお金の回収だけなら暗殺しなくてもいいはず。


となると、ブラックシャドウ諸君を捕まえて突きだしても、依頼失敗で解放したとしても、依頼主の希望が叶わないので今後も狙われ続ける可能性しかないわけですよ。


しかも、今回返り討ちにしたことによりさらに手練れの刺客が送られてくるに違いない。


そうなれば返り討ちにできない相手とか送り込まれて、コロコロされちゃう未来しか思い浮かばない。



あれやこれやと考えていると、ブラックシャドウ諸君からこれを許可してもらえれば、今後わたしたちに関する依頼は一切受けないし、もし依頼が舞い込んだらお知らせしますとのこと。


んん?そんなことして大丈夫なの?


「全くもって、全然問題ございません。」


即答だった。


今回成功したと報告すれば、わたしは死んだのだから依頼されることはなくなり、もしされたとしても断れるし、ブラックシャドウ的にわたしたちとは敵対するより友好的な関係でいたいのでその対価と今回のお詫びも兼ねて情報の横流しをさせて欲しいそうだ。


そういうことならこちらとしても有難いので受け入れさせてもらいますが、下っぱがそんな事勝手に決めていいものかと聞く。


そこは、上層部を必ず説得させると力強い返事をいただいたので、それなら信用させてもらいますが、もしもの場合はこちらとしてもそれなりの対応をさせていただくと、ちょっと脅しておく。


そうと決まればあとは行動あるのみ。

アイテムボックスからお金を取り出す。


実はそこそこ使っていたので金貨の残りは半分ちょっとしかない。


「そもそも枚数は指定されておりませんので、それなら100枚ほど回収させていただけますでしょうか。」


全額じゃなかかったことに内心ホッとしていると、出来たらわたしのいらない所持品で構わないのでを何か貰えないかと言われた。


ああ、そっか。暗殺の方も偽装した方がいいもんね。


ザンッ。


わたしは護身用のナイフを取り出すと自分の髪の毛を切った。


「「「・・・」」」


時代劇とかでコロコロした証拠と言えばこれだと思ったのだが。うん。これはまたやらかしたようですな。


絶句しているみんなを無視してブラックシャドウの解いて、金貨と髪の毛を渡して解放した。


「あの、こ、これは…」


困惑するブラックシャドウも無視して、アイテムボックスから馬車を出し、みんなにはすぐに再出発しようと声をかける。


わたしはお小言をもらいたくなかったので、一生懸命準備した。


その甲斐あってか、あっという間に準備が完了すると、立ち尽くすブラックシャドウ諸君に、あとはよろしくお願いしますねと声をかけてその場を後にした。



結果的に再出発した馬車の荷台でみんなから延々とお小言をもらうはめになったことをここに報告する。


最近こんなことばっかりな気がするぜ。トホホ…




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