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いざ、尋問を開始する。
ただ、相手はどうやら手練れのご様子。
きっと一筋縄ではいかないだろう。
場合によっては、奥の手を使わざるを得ないかもしれない。
質問する前にコロコロはしないが、それよりも恐ろしいことが待っていると脅しておく。
わたしの発言に皆から大丈夫かと心配そうな気配をバシバシ感じるがここは黙って耐える。
何事もはじめが肝心で、なめられてはいけないのだ。
しかし、黒装束たちは明らかにわたしの事を舐めくさっている。
おまけに味方である3人もちょっと最近わたしの事を舐めていると思う。
はっ!ついつい不満が漏れてしまった。
今はそんな事考えてる場合じゃない。
気を取り直して。
アセナさんやっておしまいなさい。
"あい、わかった。"
ガブリ。
わたしの合図で、アセナが黒装束に一人の頭を丸のみした。
うん。ノリで言ったから何するのか知らなかったけど、思ってたよりも激しくて震えるわ。
"心配せずとも、本気で噛んでなぞおらん。甘噛みよ。"
噛まれた黒装束をよくよく見ると確かにどこにも怪我はなかった。
顔はヨダレまみれで目は死んでいたけど、気を失わないところを見るとやはりなかなかの手練れだと確信する。
それならばとここでさらに脅しをかけておく。
これよりも恐ろしいことが待っているぞと。
今のを見た後ならばこの言葉はかなりの破壊力を持っているだろう。
だがしかし、わたしは内心ヒヤヒヤしていた。
これよりも恐ろしい奥の手なんかあるわけないやんけ、と。
しかし、運は味方した。
アセナさん丸のみ事件で黒装束の一人の心は完全に折れたようで、物凄い勢いで命乞いを始めたのだ。
「お願いです!何でもしますし、話しますから、命だけは!!」
そして、その一人を皮切りに一斉に黒装束たちは次々と自主的にお話ししてくれたのだった。
うん、結果オーライとはまさにこの事ですな。
やいのやいの言ってくる黒装束の話をまとめると。
まず、黒装束たちはブラックシャドウという裏の仕事を専門に請け負う組織だそうで、この世界のあらゆる国に存在するそうだ。
ちょっとダサイ名前だとか、捻りのない名前だとかは思っていない。
そして今回、帝国のとある人物からわたしの暗殺を依頼されて襲撃したとのこと。
その人物は予想外の人だった。
あ、ちなみにわたしの奥の手ですけど、内容はですね、こちょこちょこちょ攻撃でした。
いやぁ、使わないで済んで本当に良かった、良かった!