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目を開けると、
目の前にケビンがいた。
ギャーーッ!!!
今まで頭の中で考えていた人物が目の前に現れるという現象にわたしは驚きのあまり叫んだ。
「ユウリ様、いかがなさいましたか!?」
「どうしたの?」
「なにごとですか!?」
わたしの叫び声に皆が寄ってくる。
いや、待たなくていいって言ったのになんでおんねん。
とりあえず、ちょっと目の前に人が立ってたからビックリしただけだど説明すると、皆がまた頭を念入りに調べてくる。
"・・・"
おい、やめろ。ケビンが生暖かい目で見てるでしょうが。
まだお祈りしたいことがあると言ってみんなには鑑定が受けられる場所で待っててもらうようにお願いとい名の追い出しをした。
ここでわたしは違和感を覚える。
あれ、みんなケビンのこと見えてなかった?
"そうです。見えてないです。"
げっ、なんで、まだ声がか聞こえるの。キモッ。
"キモッって、傷つくなぁ。なんとなく察してると思いますけど、ケビン改め創造神です。お久しぶりです、ユウリさん。"
やめて、認めたくないからずっとケビンって呼んでたのに。
現実を突きつけないで。
"まぁ、神様って特に名前はないので今まで通りケビンと呼んでもらってかまいませんよ。"
ケビンでいいんかい。
"あはは、会話が成立するって楽しいですね。"
こっちは全然楽しくないわ。
大体、ル◯大柴はどこいった。
話し方が違うからキモい。
"また、キモいって…神でも傷つくんですから。えっと、ル◯大柴はそういうキャラ設定だったんでもうやらないですよ。"
神様がキャラ設定とかいうなよ。
なんか、すごい疲れたんですけど。
"あー、やっぱり疲れますか。これスキルで会話してるんでMPが減るんですよね。"
リアルな疲れとか笑えないぞ。
色々言いたいことがあったけど、もういいです。
さっさと消えろ下さい。
"ひどいですねぇ。でも本当にそろそろ切り上げないと気絶しちゃいますから大事なことだけお伝えしますね。"
イヤだ、聞きたくない。嫌な予感しかしない。
"ゆみちゃんさんもこの世界にいますよ。こちらの大陸で言うところの復活したっていう魔王がそうです。"
おい!聞きたくないって言ってんのに、なんちゅう爆弾を投下してくれてんねん。
知りたくなかった、知りたくなかったよ。そんなこと。
"あと…"
え、まだあんの?!
MPが切れる前にわたしのライフがゼロなんですけど。
"ユウリさん、聖母ってことでこの世界のピンチ救ってください。"
・・・ちょっとっていうか、かなりなに言ってるかわからないんですけど。
"あ、なんで聖母なのかってことなんですけど、"
おい、無視すんな。急にマシンガントーク始めたと思えば、勝手に話進めないでもらえますか。
会話が成立して楽しかったんじゃなかったっけ。
"ほら、ユウリさんってお姉さんっていうより、お母さんみたいだなって思ってて"
・・・はぁ?
"あのっ、いい意味で!いい意味でお母さんみたいだなって、別に年齢的にとか、"
オイ。コラ。
"ヒィッ!えっ、あの、その、なんて言うか…
あっ、もう時間だ!残念ですが時間なのでまたお会いしましょう、さようなら!"
最後はセリフが棒読みで、ケビンもとい創造神は消えたというか逃げた。
爆弾発言して、失礼なこと言うだけ言って一方的に消えるとか、本当になんなのあいつ。
そういえば、みんなに避けられるようになった理由のひとつにデリカシーのなさもあったな。
これに関しては設定ではなくて素だったか。本当に残念やつ。
なんかもう色々ありすぎて頭がパァンってなるわ。
とりあえず、意味のわからないことは無かったことにして。
・・・いやそもそもケビンに会ってないか。アハハ。
一人で納得して、みんなのもとに向かおうと振り向くと、いつからいたのか白い装束を身につけた集団がいた。
これまた、イヤな予感。
わたしは大きく息を吐いて、集団に向かって歩きだした。