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滞在2日目。
壊れた建物や怪我人をそのままに出発はできず、今日は色々と村の復興のお手伝いをすることにした。
ちなみに元凶が村にいたのでは村人たちも落ち着かないだろうということで、毛玉どもは村の外に追い出した。
"キュウーン。わらわはよいであろう?"
アセナは小さいサイズに戻って媚を売ってきたが心を鬼にして村の外へ追い出した。
"それもこれも、お前らがきたからじゃ!さっさと帰れ!"
"ひどいや、姐さん。"
"あっしらだけのせいじゃないですぜ。"
"うるさーい!"
うるさいのはお前らじゃ。
"ユ、ユウリ。こ、これはじゃな、"
""なんであっしらは関係な""
"""ギェーーっっ!"""
反省の意味も込めて追い出したのに夜中にうるさくしたので再度整列させて説教しておいた。
こちとら疲れてんだから空気読んでください。
そんなこともあって、村人だけではなく毛玉どもまでもわたしのことを恐れている。
いや、自業自得だからね。
さて、そんなわけで毛玉どもは放っておいて、村の復興だ。
わたしとシルバくんが怪我人の対応をして、フェルくんとレオくんは壊れてしまった建物の片付けをすることになった。
昨日重傷の人たちは治したので今日は落ち着いて対応出来そうだけど、そのかわり人数が多い。
もちろん一人一人に『ヒール』をかけるつもりなのだが、順番を待ってる間も痛いわけで。
もっとこう一度に沢山の人を治せるような方法があればいい。
「ございますよ。」
えっ?
「えっ?ご存知なかったのですか!?」
ええ。ご存知なかったです。
沢山の人を一度に治す魔法。
その名も『エリアヒール』
広い範囲に回復魔法を発動させるようにイメージすれば出来るはずとのこと。
・・・広範囲。それわたしが一番だめなやつやん。
ちゃんと発動するかも定かじゃないし、仮に発動しても今までの経験から考えると半径1メートル以内の人たちだけしか治せないかもしれない。
しかし物は試し。
ぶっつけ本番でチャレンジしてみることにする。
とりあえず出来る限りわたしの周りに集まってもらい、範囲はでっかく村全体をイメージして『エリアヒール』を発動させる。
発動した途端に立ち眩みのような感覚に襲われて気絶した。
シルバくんが咄嗟に支えてくれたおかげで倒れずにすんだようでありがとうごさいます。
気がついたのは30分後。
「お気付きになられましたか。『エリアヒール』は成功されましたよ。」
しかも今回は本当に広範囲にも発動出来たようで集まっていた全ての人の怪我が治ってました。
広範囲での発動に希望が出てきたので、すぐに風魔法を試してみたが1メートル以内でしか発動しなかった。
なんでやねん。
気絶してしまったが、『エリアヒール』の成功のおかげで怪我人の治療が思ったより早く終わったので、片付け班の手伝いをすることにして向かうと、なんとこっちの方まで魔法が届いたそうで皆さん驚いてました。
うん、それはわたしも驚きだわ。
思った以上の範囲と怪我してるのに片付けしてる人がいたことに複雑な気持ちになったが、まあ、結果オーライ。
皆さんの怪我が治ってよかったというこで、みんなで片付けしちゃいましょうかね。
こちらの進捗はどうですか。
「こちらはまだまだ時間がかかりそうです。」
コクリ。
現在、再利用出来るものと処分するものを分けながら作業しているそうだか、ずいぶんこんもりしている処分するもたちはどうするのさ。
「村の外に捨てる」
「場合によっては燃やして埋めるそうです。」
なるほど、それなら邪魔な処分品はさっさと村の外に運んじゃいますかね。
「助けていただいた上にそんな重くて、危ない作業など。村のものたちでやりますから。」
いや、アイテムボックスに入れて運んじゃいますから全然問題ないですよ。
むしろ、わたし一人で大丈夫ですからって…
え、何かみんな膝から崩れ落ちたり目をぱちくりしてるけど、わたしそんなにヘンなこと言ったかいな。
「アイテムボックスのスキルをそんな風に使う人は見たことがありません。」
いや、他の人のことは知らんがな。
だって何度も往復するより、わたしがいっぺんに運んでみんなには他の作業してもらった方がどう考えたって良いではないか。
という事で微妙な空気のなか、バンバン処分品を回収してそそくさと村の外に行くことにした。
別に皆のよそよそしい態度に傷ついてなんかいし、外でサボろうとか断じて考えてない。
あ、ついでに燃やしちゃうからレオくんは着いてきてもらえるとありがたいです。
ユニークが2000人突破致しました。
沢山の方にに読んでいただき恐縮です。
これからも頑張ります。