表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
51/210

51

再出発の旅は順調だった。


盗賊に襲われることも、魔物に襲われることもなくスムーズに進み、翌日の昼過ぎには予定の村に到着した。


再出発では嬉しい発見があった。


それは、アセナの探知能力だった。


フェルくんが気づくより先にウサギを見つけたり、夜の野宿の際も見張りの人より先に近づいてきていたネズミに気付いたりと大活躍だった。


どんなに小さくて可愛くてもさすが狼と言ったところ。


そしてもうひとつ素晴らしい発見があった。


それは出発直後、特訓の際に笑っていた罰としてアセナをモフり倒していたときだった。


モフモフもさることながら、肉球がめっちゃプニプニなのですよ!


モフモフに負けず劣らずの素晴らしいプニプニの発見に密かに歓喜した。


そしてひたすらモフモフしてはプニプニを繰り返した結果。


"ええい、寄るでない!"


アセナはご飯を食べているときと眠ったあとだけしかわたしの元に近寄ってこなくなってしまった。


あからさまに避けられると泣くぞ、こら。


仕方ないので村につくまでの間ふて寝してやりましたよ。

途中から馬車の揺れとクッションのいい仕事のおかげでガチで寝たけどね。


そんなこんなで到着した今回の村は町から近いからか村外れの掘っ立て小屋が立派だったのでゆっくりできそうだ。


小屋で一息ついたあと、夕飯まで時間があるので村の祠で久しぶりにお祈りしてみることにする。


明らかに聞こえてはいけない声がしてから避けていたのだが、教会ではなければ大丈夫という謎の自信のもと試してみることにする。


お祈りの内容は旅について。


まず、旅の神様の加護が付いてるのに盗賊に襲われるとはどういうことかとクレームをつけ、アセナに出会えたことについてはお礼を言って、最後にこれからの旅の安全を念入りにお願いしておく。


しらっと新たなモフモフとの出会いについてもお願いしておいた。


言いたいことを言うだけ言ったあと、少し待ってみるが特に何も起こらなかった。


どうやら教会でないと今のところ声を受信することはできないようだ。


ただ、神託のスキルのレベルが上がってしまった場合受信出来るようになるかもしれない。


神託のスキルのレベルは上がらないことを切に願うが、逆にこっちの声はバンバン受け入れてもらえるとありがたいので祈祷の方は上がってもいいかもしれないとか思わんでもない。




お祈りが終われば小屋に戻って夕飯の準備。


小屋のグレードが良かったのでとっておきを出すことにする。


そう、それはお米様だ!


ゼロスさんがくれたお米はだいたい2升といったところで、大変貴重なのだが尋常じゃないほど身体がお米を欲しているので思いきって1/3ほど炊くことにする。


一度食べてしまえば、もうお米がないと思っていた頃には戻れないのです。


土鍋にお米をいれて炊くと小屋中にお米の炊けるいい匂いが充満する。


食べ方は米本来の味を生かすため、シンプルに塩むすびにする。


くぅ。久しぶりに食べたおむすびは言葉にならないほど美味しかった。


やっぱりお米様は最高や。


余りのシンプルさにお米初心者のみんなはおそるおそる口に運んでいたが食べてみれば良さが伝わったようで好評だった。


「真っ白で不思議な味ですが、とても美味しいですね。」

「え、これ、味付け塩だけなんですか?」

「これ、好き。」

"わらわも!"


あとここに味噌汁があれば最高なのだが、まだ味噌と醤油には出会っていないので仕方ない。


お米様の次はお大豆様と出会えることを願うばかり。


ちなみにお米様はあっという間に駆逐されました。


わたし全然食べてないんだけど、誰だ!いっぱい食べやつは!!


"す、すまん。美味しかったもので、つい。"


あ、アセナだったか。うん、仕方ない。


後でモフモフ、プニプニさせてくれたら許してやろう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ