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美味しいご飯ものあとは、いよいよお礼の品のお披露目となった。
ゼロスさんの家に戻ると、家の前には馬車が停まっていた。
初めて会ったときにゼロスさんが乗っていたものに似ていて、側にはレオーネさんがいた。
馬車があるってことは、ここからさらに移動するのかな?
「ユウリさん、こちらがお礼の品です。」
ん?馬車の中に隠してる的なこと?
「いえ、この馬車がお礼の品です。もちろん馬も込みですよ。」
・・・
ゼロスさん、お礼の品奮発しすぎです。
帝都の街でも馬車売ってて見たけど結構なお値段でしたよ。
こんなの受け取れません!
「そんなことおっしゃらないで下さい。こちらの馬車はアイテムボックスが使える私にあわせて造られていて、普通の馬車とは違って小型なんです。だから同じアイテムボックスが使えるユウリさんにピッタリだとビビっときたんです。」
いや、ビビっとされても…
「それに、今回の仕入れの旅のあとは廃棄する予定だったのですが、まだまだ使えるのに勿体無いと思っていまして、それならお礼の品としてプレゼントしようと思った次第です。ただ長年使用していたので修理したり改良が必要だったもので、お時間を頂きました。」
馬車だけでもビックリなのに、更にゼロスさんは特典もつけてくる。
特典その1。
北の大陸の企業秘密ルートと、ゼロスさんのオススメのお店とお子さんたちのお店の場所が記載された地図。
特典その2。
お子さんたち宛の手紙とペンダント。
特典その3。
本日お誕生日を向かえ、大人の仲間入りをしたレオーネさん。
以上の3点が特典として渡されました。パチパチー。
って拍手してる場合か!
どれもこれもとんでもない代物ばっかりじゃないですか!地図はほぼほぼ世界地図だし、手紙は要は紹介状でペンダントは見せれば分かるって…それ水戸◯門の印籠だからね。
あと、レオーネさんはお誕生日おめでとうございます。
「ありがとうございます。」
そう、特典その3のレオーネさんなんだが、ゼロスさんと農村で生活する予定だったのだが、若いのにそんな隠居生活に付き合わないで、わたしたちにくっついて外の世界を見たほうがいいと話したところ、本人も了承したことなので何も問題ないとか。
いやいや、本人がOKしたとかそうい問題じゃないから。
ゼ「どっきりは成功したようだな。」
レイ「そうね。ユウリさん、驚いてるもの。」
レオ「流石、ゼロス様ですね!」
いや、そんなサプライズ大成功!みたいにキャッキャしてるけどわたしたちが断ったらどうするんですか!?
ゼ・レイ・レオ「「「断るわけないじゃないですか。」」」
え、なにその確信…
ええ、確かに、確かに断りませんよ。
この数日とってもお世話になりまたし、今後の旅のこと考えたら馬車欲しいなとか、シルバくんとフェルくんの負担を考えて人増やそうかなとか確かに考えてましたよ!
「そうでしょう。欲しいと思っているものを的確に揃える。それが商人ですから。」
なにそのドヤ顔。
それになんだろう。このものすごい敗北感と疲労感は。
もうこれ以上サプライズは勘弁してください。