36
現在わたしの武器はスコップであると言っても過言ではない。
しかし、さすがにこれからもずっとは厳しいわけで…
「まずはユウリ様の敵性を確認して、今後の戦闘について考えていきましょう。」
うん、これもっと早くにやるべきでしたね。
「HPに少々不安がありますので、現時点で接近戦は難しいですね。」
確かに低いけどレベルも上がってるし、それに思わぬ才能があるかもしれないから、試してみる価値はあると思います!
わたしは謎の自信をもとにフェルくんの剣を借りて確認することにした。
ちなみにフェルくんの剣はわたしの半分くらいの大きさなんですよね。
「気をつけて。」
うん、お借りしま…うわっ。
ガシャン。
フェルくんに渡された剣にわたしは手も足も出ず、初めて魔物を倒したときと同じく持てずに落としてしまった。
やっぱりちょっとレベルが上がったくらいじゃダメか…でも今後レベルが上がったとしてもちょっと使いこなせるかどうか。
なぜわたしはあんなに自信満々だったのだろう…
くよくよしても仕方ない。次!
今度はシルバくんの弓を借りてみる。
うん、まったく引けない。
え、ちょっと待って。弓ってこんなに力が必要なの!?
力みすぎで血管切れるかと思った…
・・・まだまだ!次。
次はレオーネさんが使っている槍を借りる。
レオーネさんの身長に合わせてかなり長いし、なかなかの重さで両手で少し持ち上げるのがやっとだった。
これで鬼人族では子ども用だとかどういうことでしょうか…
あれこれ試した結果。
わたしには戦闘の才能がないこということが再確認されただけだった。
当分の間はスコップで頑張ります…
「今はスコップでも十分だとは思いますが、護身用に短剣くらいはお持ちになられた方がよろしいかと。」
うーん、ちっちゃな短剣なら持てそうかな。
でも、護身用に買うことにしてもあまり出番はないような気がするけど。
しかし、こんなダメダメなわたしにも予想外の才能がついに発見された。
それは投石だった。
拳以下の小さい石であればかなりの確率で当てることができるということが判明。
「では、今後はスコップと投石で戦闘に参加いただきましょう。」
頑張りたいけど、投石の威力はダメージ皆無な上、飛距離もあまりないので参加できる気がしないと思ったことは黙っておく。
たとえ物理が全くダメでもわたしには魔法がある!
HPはあれだけど、MPの成長は優秀だし生活魔法もすぐに使えるようになったからかなり期待が持てると思う!
シルバくんに水と風の魔法について、レオーネさんが火の魔法が使えるとのことなので、それぞれご教授頂きチャレンジしてみることにする。
まずは水の魔法からやってみますかね。