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「ユウリ様、何かございましたか?」
ん?なんもないよ。ハハハ…
シルバくんが声をかけてくれたことで、現実に戻ってきたわたしはとりあえず愛想笑いで誤魔化した。
わたしはちょっと聞きたいことが出来たので、少し早いがレオーネさんにお昼ご飯が食べられる場所に案内してもらえるようにお願いする。
「ご飯ですね。ご案内します。」
辿り着いたのは町の食堂みたいなところだった。
こういう地元の人しか来ないようなお店は大体美味しいんだよね。
席につくと早速お店のオススメを注文して、料理がくる前に話を聞くことにする。
まず、レベルが上がっていたことの報告から。
「え?2つも上がっていたのですか?」
・・・やっぱりおかしいですよね、そうですよね。
「レベルが上がることは自体は悪いことではありませんし、希にレベルが上がりやすい方もいるそうですから心配されることはありません。」
「レベルが上がるのはいいこと。」
そっか、じゃ運がよかったってことで、次。
アイテムボックスのレベルと生活魔法については特に問題なし。
「おまたせしましたー!」
ここでご飯が来たので一旦中断。
冷めないうちにいただくことにする。
神託と祈祷について聞くかどうしようか悩みながら食べたせいか、せっかくのオススメ料理の味がイマイチ分からなかった。
多分、とても美味しかったんだろう。
考え事していたわりに手が止まらなかったから。
お皿キレイだったもん。
で、考えた結果、ストレートに聞くのは止めた。
どうやって遠回しに聞くか考えた末出てきたのは、
神様の言葉を聞けたりしする人はいないの?
だった。
「「「・・・」」」
うん、分かってる。
明らかに変な質問なのは、わたしが一番分かってます。
それでも優しい彼らは答えてくれる。
「神のお言葉ですか?そうですね、希に教会の人間の中にはいるようですが…しかし加護と同様で教会でもかなり高い地位の人に限られるかと。」
えっと、それは教皇様とか聖女様みたいな?
「はい。そうなります。」
わたしはいつからそんな教会のトップが持つようなスキルを身につけたんだろうか…
お祈りがいけなかったのかな?そうなんですね?
そうなるとあの謎の声も…いや、ダメだ。今は深く考えちゃダメ!
でもまぁこの世界で無事に生き抜くことやスキルをくださいとか、旅の無事を確かに祈ってある意味望みは叶えてもらってるし、良しとしておこう。
でもわたしが望んだのはこういうことじゃないんです。もっと普通でいいんです、普通で。
全面に出てこないで影から見守る感じがよかった。
神様、今からでも平穏な生活を祈ったらなんとかなりますか?