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馬車を運転しているのはおじいさんだった。
助けなきゃ!と軽くパニックになっているわたしの横でシルバくんが弓を構える。
フェルくんはいつの間にか剣を抜いていて、いつでも戦える状態だ。
馬車が通りすぎる瞬間、シルバくんが矢を放つ。
鋭い音をたて、矢は一直線に先頭を走っていた狼に命中した。
シルバくんはすかさず次の矢を構え、フェルくんが木のかげから飛び出し狼の方へ物凄い速さで走っていく。
先頭が倒れたことにより後続の何頭かが止まれず躓いて倒れる。
しかし、狼たちも頭がいいようで巻き込まれなかった狼たちがこちらに気付き向かってきた。
それでも、何頭かはそのまま馬車の方へ走っていく。
こちらに向かってくる狼をフェルくんが剣でなぎはらい、シルバくんが横を抜けようとする狼を矢で射る。
瞬く間にこちらに向かって来ていた狼が地面に横になって動かなくなっていく。
それでも、フェルくんは足を止めず道に転がっている狼の方に向かう。
倒れていた狼たちが起き上がってこちらに向かってくるのが見えた。
「ユウリ様はこのまま隠れていてください。」
シルバくんはそう言うと木のかげから飛び出しフェルくんのもとに向かっていく。
この時はじめてシルバくんの風魔法をみた。
見えない何かかが狼を斬り倒して動けないようにしていく。
たぶん、鎌鼬のようなものなのだろう。
結局残りの狼たちも2人がすぐに倒してしまった。
あっという間の出来事に放心状態のわたしのもとにシルバくんが戻ってくる。
「ユウリ様、大丈夫ですか?」
え?隠れてただけだから大丈夫。
そういえばフェルくんはどうしたのかと道の方を見ると、馬車が駆けていった方に走っていくのが見えた。