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ボロ雑巾から濡れたボロ雑巾へと進化した人たちの話によれば、フリード様が帝国に連れていかれたときから今までのあれやこれやについて色々と知恵を貸してくださったのは呪術師の弟子と名乗る人物で、イケメンさんはその呪術師の弟子と名乗る人物から派遣されたのではないかということだった。
何故こんな重要なことを話さなかったのかと言うと口止めされていたこともあるが、ほとぼりが覚めればまた知恵を借りるつもりだったそうだ。
まだどうにかなるとか思ってたんか…
本当にどうしようもないな…
そんなわけで濡れたボロ雑巾さんたちが完全に弟子とやらの言いなりであるこが判明したわけだが…
どうやらこの話は取り調べの際に白状していなかったようで、フリード様の笑顔がとっても恐ろしことになっている。
これ以上はお城の一部が消えるか今すぐにでも処刑が開始されてしまう恐れがあるので、パウルさんがフリード様を必死に羽交い締めしている間に呪術師の弟子とやらの棲みかを聞き出し、ボロ雑巾さんたちは早々に牢屋へ連行されていった。
多分もう教えてもらった場所に呪術師の弟子はいないだろうが、テオバルトさんが確認へ向かった。決してこの場から逃げたわけではない。
その後イケメンさんにも話を聞いたが幼少期の記憶しかなく、それ以外の記憶がごっそり無くなっているようでやはりというか詳しいことはわからなかった。
まぁ、気付いたらいきなり見ず知らずの場所だったのだ。そりゃ威嚇もするだろう。
たけど何故わたしにだけに懐いているのかはよく分からなかった。
さてどうしたもんかな…
呪術師の弟子はもう王国にはいないだろうし、イケメンさんはいつの間にかわたしの背中にしがみつてるし…
うーん。仕方ない。
こうなりゃわたしの生き別れた弟として面倒見てあげよう!
「いえ、ユウリ様の弟としてではなく従者として私が責任をもって鍛え上げます」
いやいや、わたしの弟として面倒みます。
それにシルバくんに鍛えられたらシルバくん2号になっちゃうじゃん!
「それの何が問題なのですか?」
・・・イヤだ。
シルバくん2号なんて絶対イヤだ!
「ユウリ様?」
わたしに対して優しい子が1人くらいいたってよくない!?わたしは癒しが欲しい!
「・・・ハンサがいるではありませんか」
確かにハンサちゃんは癒しだよ!
でもハンサちゃんの一番はアセナさんで、最近全然構ってくれないんだよ…
「女神、それなら僕が!」
あ、結構です。腹黒王はいらないので。
わたしはピュアな癒しが欲しいんだよ!
「は、腹黒王…」
大体フェルくんもレオくんもはじめの頃はあんなに可愛かったのに、いつの間にかシルバくんに似てきちゃってるし、ガルくんはわたしより皆の言うこと聞くし、アセナさんとハンサちゃんはモフモフさせてくれないし…現在進行形で圧倒的に癒しが足りてないの!
「「「・・・」」」
そんなタイミングでちょっとサイズは大きいけど、猫耳がついててイケメンだけどなんだか可愛いのが現れたと思ったら、シルバくんみたいな小姑にされそうになったらそりゃ全力で止めるってもんでしょうよ!
「「「・・・」」」
それに聖母云々についても洗脳するつもりでしょ!?
何度もわたしは聖母なんかじゃないって言ってるのに…そんなこと断固として阻止じゃ!
「・・・それが本心ですか?」
・・・や、やってもうた
「ユウリ様が私たちのことをどう思っているのかよくわかりました」
あれ、なんでだろう?シルバくんはとってもいい笑顔なのになぜこんなに震えが止まらないんだけど…
「フェルたちが戻り次第少々お話する必要があるようですね?」
えっ、お話し?!いやぁ、その、わたし的にはお話しの必要ないんじゃないかなぁなんて…
「ユウリ様」
・・・
「皆で一度お話しいたしましょうね?」
・・・ハイ
こうしてわたしは何故かまたシルバくんにくくりつけられて城をあとにした…
申し訳ありません。更新が遅くなりました。
少々行き詰まっておりますが、踏ん張りますのでこれからもよろしくお願いいたします。